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純現金収支の正しい使い方

先日(2011年3月3日)の日経朝刊にこんな記事がありました。

「ダイセル純現金収支 400億円超黒字へ 来期から3年間で」

純現金収支とは、簡便的なフリーキャッシュフロー(FCF)ともいい、次のように求めることができます。

純現金収支=FCF(簡便法)=営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー

本業で稼いだキャッシュから、投資に使ったキャッシュを差し引いたものといえます。この純現金収支が黒字であるということは何を意味するのでしょうか。

ここで、純現金収支を増やすために、何をすればいいか考えてみましょう。そうです。営業キャッシュフローを増加させ、投資キャッシュフローを減少させればいいのです。

ここで重要なことは、投資キャッシュフローを減少させることによっても、純現金収支を増やすことができるということなのです。投資とは、将来のリターンの源泉です。足元での純現金収支の黒字を優先し、将来のリターンを考えないとするならば、それは本末転倒です。

ダイセルの場合は、設備投資が一巡しており、将来のM&Aによる業績拡大を意図して、手元資金を増やすという確固たる経営の意図があります。ただ、私たちは、純現金収支自体の大小でその企業の業績を評価することはできないことに、覚えておかなくてはいけません。

単年度の純現金収支の最大化を追求すると、企業の成長に必要な設備投資、研究開発、マーケティング、従業員教育などの投資が行われないことになりかねないことに注意が必要です。

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