β(ベータ)


β(ベータ)とはマーケット・ポートフォリオ(TOPIX等)の値動きに対する個別株式の相対的な値動きを表したものです。マーケット・ポートフォリオと全く同じ値動きをする株式のβは1となります。

例えば、TOPIXがプラスマイナス10%値動きする場合に、プラスマイナス20%の値動きをしている株式のβは2になります。また、プラスマイナス5%の値動きをしている株式のβは0.5となります。

ベータ

上図は、TOPIXと日立の月次利回りの散布図です。このそれぞれの点がTOPIXの利回りとそのときの日立の利回りを表しています。これらの点の近似直線の傾きは、TOPIXが1パーセント動いたときに日立の株式は何%動くかということを表しています。つまり、この傾きがβになります。この図では直線の傾きが1.1965となっていますので、βは1.1965です。これは、TOPIXが1パーセント動いたときに日立の株式は1.1965%動くことを意味しています。βが1より大きいので、日立の株式の値動きはTOPIXよりも大きいと言えます。

TOPIXや日立の株価はYahoo!ファイナンスなどのサイトで得ることができます。また、日立の配当は会社の株主・投資家向け情報のサイトで得ることができます。

なお、月次利回りは、以下の式で求めます。

$$月次利回り=log(\frac{今月末の株価+受取配当金}{先月末の株価})$$

回帰分析の対象期間は5年を採用しているデータ提供会社が多いですが、bloombergのように2年間のデータだけで分析しているところもあります。分析には最低でも60個のデータは必要と言われていますが、株式のリターンの間隔については、銘柄によっては取引がされない日が発生することから、実務では日次ではなく月次か週次のデータを用います。

このように回帰分析の手法を用いて、ベータを自分で計算してもいいですが、ロイターのサイトなどで調べることができます。例えば、三菱商事の銘柄コード(8058)を入力してエンターキーを押すと0.92(2017年3月22日現在)という数字が出てきます。

βの精度をどれだけ高めることができるのか、という観点でいえば、実務では二つの方法がとられることがあります。

ひとつは、企業固有のβではなく、業界ごとのβを活用するということです。業界によって、マクロ環境(為替、金利、原材料価格等)の変動に対する影響が似通っていると考えられます。したがって、投資リスクも似通っていると考えられるわけです。同業界に属する複数企業のβの平均値、あるいは中央値を業界βとして活用します。そのときに注意しなくてはいけないのは、あくまでも業界βの算出には資本構成の影響を差し引いたアンレバードβの値を用いる必要があると言うことです。その上で、評価対象会社の資本構成に応じてリレバードする必要があります。

βのアンレバード化については、ファイナンス用語辞典「未上場企業のβ」をご覧下さい。

もうひとつの方法は、公開されているβのデータを拝借するというものです。過去の実証研究において、βそのものは、時間とともに、1に収束していく特性があることが証明されています。

βを用いて株主資本コストを求める方法については、ファイナンス用語辞典「CAPM(資本資産評価モデル)」をご覧下さい。

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