東京電力の大型投資

先月末、東京電力が約29年ぶりの公募増資で約5,500億円を資金調達するというニュースが報道されました。その後、10月4日に1996円と25年ぶりの安値を更新と思いきや、本日はなんと1900円で取引を終えています。要するに市場から、この増資は受け入れられていないということです。

資金調達には、大きく分けて2つあります。今回のように新株発行に伴う資金調達であるエクイティファイナンスと社債や金融機関からの資金調達であるデットファイナンス です。(資産の流動化などによるアセットファイナンスを入れれば3つ)

企業にとって、資金調達コストが高いのは、エクイティファイナンスです。これは株主と債権者のどちらがリスクをとっているかを考えてみるとよくわかります。債権者である社債保有者や金融機関の資金提供のやり方は、何%の利率で、いついつまでいくら返済というのがきっちり契約で決まっています。一方、株主は配当をもらえるかわかりませんし、株価も上昇するかわかりません。明らかに株主の方がリスクをとっているわけですから、それだけ見返りを企業に要求するわけです。

企業はデットファイナンスとエクイティファイナンス、どのように考えて資金調達すればいいのか?
お得意のざっくりで言いますと(笑)、事業リスクがある(=売上、利益、FCFなどの将来のバラツキが大きいと考えられる)場合は、エクイティファイナンス、事業リスクが比較的低い場合は、デットファイナンスというのが基本です。なぜなら、債権者はリスクを嫌うからです(取り分が決まっている以上、あんまり企業にはむちゃして欲しくはないのです)

さて、この電力業界の事業リスクはどうなのか?実は下にあるテーブル(クリックすると拡大)にあるとおり、業種別のベータをみる限り、電気・ガス業界のようなインフラビジネスは事業リスクが低いと市場からは、考えられているのです。つまり、電力会社の資金調達はデットファイナンスが基本であり、わざわざ高いコストを払ってエクイティファイナンスに頼らなくていいということなのです。
(注意:東京電力のデット(有利子負債)がすでに過多という可能性については今回は検証していません)

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とはいうものの、東京電力は、中期経営計画で今後は、海外事業などの成長分野に投資をしていくとうたっています。つまり、好意的に考えれば、今回の資金調達は、これからは、今までの東京電力ではないんだ、リスクテイクしていくんだという意思表示とも言えるわけです。

が、この約5,500億円もの資金がどう株主価値向上につながるのかということが株主に伝わっていないことだけは確かです。

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