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JDIの不可解なキャッシュフロー開示

2017年12月1日付の日経新聞によれば、ジャパンディスプレイ(JDI)の2017年4-9月期連結キャッシュフロー計算書の開示の方法が一部の市場関係者の間で話題になっているといいます。同社の連結キャッシュフロー計算書の営業キャッシュフローの数字が法定開示の四半期報告書と任意開示のIR説明会資料とで違うというのです。

IR説明会資料では、同社の上半期の営業キャッシュフローは、308億円になっていることがわかります。これは、設備投資のためあらかじめ顧客のスマートフォンメーカーなどから受け取る「前受け金」の増減を営業キャッシュフローではなく、財務キャッシュフローに含めているからです。

以下の説明会資料の脚注には、『「前受金」を長期性負債とみなし、財務キャッシュフローに含めています』という注意書きがあります。

出典:JDI 2017年度第2四半期決算説明会資料 赤枠はオントラック追加

一方で、法定開示の四半期報告書では、従来通り、「前受金」の増減△356億円は、営業キャッシュフローに記載しています。これにより、同社の上半期の営業キャッシュフローは、△48億円になっているのです。営業キャッシュフローがマイナスというのは一大事です。

出典:JDI 第2四半期報告書 赤枠はオントラック追加

問題なのはこれまでの開示資料との連続性が損なわれてしまうというという点です。法定開示の四半期報告書と違って、法的な責任が問われることはないIRの説明会資料では、なんとしてでも営業キャッシュフローをプラスにして業績を良く見せようとしたのではないかと勘繰られてもしょうがないでしょう。

それにしても姑息です。こんなことをすれば、よけいに投資家の信頼を失うことになると考えなかったのでしょうか。「キャッシュは嘘つかない」と思っていましたが、このような計上区分を変えることによって営業キャッシュフローをプラスにする企業があるとは本当に驚きました。

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