先日、大手銀行があいつで好決算を発表しました。ところが銀行株
は回復していません。欧米の銀行規制強化が、日本の銀行にも影を
落としているといいます。
国際的な銀行規制を決めるバーゼル委員会が打ち出した狭義の最低
自己資本比率は、7%以上。これに対して、メガバンクの各行首脳
は増資しなくても新規制導入時に、最低水準は達成できるとしてい
ます。
ところで、なぜ銀行には資本規制の強化などが求められるのでしょ
うか。これは他の事業会社にはないことです。
このことは、銀行の資金調達と無縁ではありません。銀行はその資
金調達の多くを預金に依存しています。債権者である預金者は、銀
行が破綻したとしても、預金保険の適用範囲内であれば、預金が全
額保護されます。したがって、債権者である預金者は、いくら銀行
が危なっかしい経営をしても気にしません。
一方で、株主はどうか。株主の最大損失額は出資額です。つまり、
最悪の場合でも自分の株券が紙くずになるだけです。このように、
ダウンサイドリスクの下限が決まっていることから、アップサイド
リスクをとりにいくために、よりリスクの高いビジネスに手を出そ
うというインセンティブが株主には働くのです。ましてや、本来リ
スクを嫌うはずの債権者は何も言わないのですから、株主のやりた
い放題というわけです。
預金保険などの制度によって、預金者(債権者)が保護される一方
で、このような副作用もあるわけです。こうした株主のやりすぎを
是正する意味で資本強化などが求められているというわけです。