決算書は意思決定に使えない(後半)

利益を算出する際に用いられる「公平性」を重視した割勘計算には正解はないこと、定量的評価ができないということはどういうことなのか。前回のケースの続きをみてみましょう。

あなたと友人Aは予定より引越しの作業を早く終えることができました。トラックを返す時間までには十分余裕があります。そこに二人の共通の友人Xがやってきて15,000円支払うので50キロ使わせて欲しいと言ってきました。

あなたと友人Aはこの申し出を承諾すべきでしょうか。50キロ使うのですから、あなたと同じ30,000円を負担させるべきでしょうか。

先ほどと同じように公平性を重視した場合、1キロ当たりの料金は次のように計算できます。

$$200円+\frac{ 60,000円 }{ 200キロ }=200円+300円=500円$$

したがって、それぞれの距離の応じた負担額は次のようになるはずです。

$$あなた:500円×50キロ=25,000円$$$$友人A: 500円×100キロ=50,000円$$$$友人X: 500円×50キロ=25,000円$$

3人が公平に負担すると考えた場合、これは1つの解とはなり得ます。しかし、友人Xに15,000円で貸すかどうかという意思決定は、公平性というよりも、どちらがあなたと友人Aにとって有利かという経済性の問題となります。この場合は、友人Xに貸した場合と貸さない場合のキャッシュフローの差額に注目する必要があります。

友人Xが50キロ使うことによって、レンタカー会社に支払う料金は、10,000円(=200円/キロ×50キロ)増加します。これに対して、友人Xは15,000円支払うと言っているので、あなたと友人Aにとってみれば、5,000円得するのです。

言ってみれば、友人Xに10,000円よりも高い金額を支払うのであれば、友人Xに貸した方がいいということになるわけです。このように公平性を前提とした割勘計算と経済性を前提とした計算とでは考え方が大きくことなることに注意しなくてはいけません。

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