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金融リテラシー入門

京都大学経済学部で行われた「金融リテラシー」の講義が本になりました。「金融リテラシー入門 基礎編応用編」です。「金融リテラシー」は、決して金融業界で働く専門的な人材のみに求められるような高度な知識や能力を意味していません。この本で示されている金融リテラシーとは、「金融に関する健全な意思決定を行い、究極的には金融面での個人のよい暮らしを達成するために必要な、金融に関する意識、知識、技術、態度および行動の総体」です。

この本の中でも引用されていますが、日本では定期的に金融リテラシー調査が実施されています。この調査は、個人の金融リテラシー(お金の知識・判断力)の現状把握を目的として、金融広報中央委員会が、実施する大規模調査です。対象は、18~79 歳の個人、モニター数は 25,000人のインターネット調査となっています。調査結果は、こちらです。試しに金融リテラシー・クイズをやって、あなたの金融リテラシーのレベルをチェックしてみましょう。2~3分もあれば出来るクイズです。

100点満点であなたは何点だったでしょうか。金融リテラシー調査の回答者25,000人の平均点と比べてみましょう。3問正解すれば平均を超えますね。


出所:金融広報中央委員会「金融リテラシー調査2019年の結果

日本の金融リテラシーのレベルは米国と比較するとどうなのでしょうか(下図参照)。
・共通の正誤問題の正答率は、日本47%に対して米国53%と、米国が日本を上回っています。
・①年齢が高くなるにつれ正答率が高まること、②金融教育を受けた人の正答率が平均よりも高い点は、日米とも共通しています。
・また、年収が高くなるにつれ正答率が高まる点も日米とも共通しています。
・「金融知識に自信がある人」の割合は、米国は76%と日本の12%を大きく上回っています。

出所:金融広報中央委員会「金融リテラシー調査2019年の結果

さらに詳細にみてみると、正誤問題の中でも複利計算がわかる日本人は半分に満たないことがわかります(赤い囲み)。複利計算がわからないでは、将来価値や現在価値などはとてもじゃないけど理解できないでしょう。日本人の金融リテラシーが低いのは、学校で金融教育がなされていないことがあるのでしょう。今回の調査結果によれば、金融経済教育を行うべきと考える者のうち、学校等において金融経済教育を受ける機会があったと回答した人は、わずか8.5%です。学校教育の現場において、金融経済教育は十分とは言えないでしょう。

金融リテラシーの格差が経済的な格差の原因の1つになっていると指摘する報告書が世界中で数多く発表されているようです。貧困などの社会問題を解決していくためにも、金融リテラシーの向上は大切です。金融庁は私たちが生きていく上で必要な金融に関するリテラシーを①家計管理、②生活設計、③金融商品の選択、金融経済の理解、④外部知見の活用の4つとしています。私自身が日本人の金融リテラシー向上のために何ができるを考え、行動にうつしていきたいと思います。

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