やりたいことをやるビジネスモデル

高級ブランドが立ち並ぶ東京・銀座で、異彩を放っているのがGINZA SIX内にある海苔弁専門店の「刷毛じょうゆ 海苔弁山登り」です。この店舗は「スープストックトーキョー」などを経営するスマイルズが運営しています。

全く関係がなさそうなビジネスを展開するスマイルズの代表である遠山氏はこう言います。

「ビジネスモデルを考えるうえで最大のカギは、収益性ではありません。主語はビジネスではなく「 やりたいこと」なのです。」

「スープストックトーキョー」は利益が出るまでに8年かかったそうです。どんなに苦しくても撤退しなかったのは、「やりたいことをやりたい気持ち」、そして「やりたいことをやるべき意義」があったからだといいます。

ビジネスには苦しい場面が付き物です。そんなときに立ち戻る拠り所がないと踏ん張れない。それがスマイルズにとっては「やりたいことをやる」、「やりたいことをやる意義」なのです。

スープストックトーキョーの場合、ファスト・フードの「安かろう、悪かろう」という消費者イメージをどうにかしたいという想いが原点で、「女性がスープをすすってホッとしているシーン」が思い浮かんだのきっかけだといいます。

銀座の「刷毛じょうゆ 海苔弁山登り」も社内で「何が好き?」「やっぱり、のり弁でしょう」という会話から生まれたといいます。「これは売れる」というマーケティングの発想から生まれた商品ではないのです。最近、遠山氏が大切にしていることは、「子供の眼差し×大人の都合」という概念です。

子供の眼差しとは、こんなことを思いついちゃったというトキメキだったり、純粋にやりたいというキラキラとした妄想だったりする。しかし、ビジネスや事業はそれだけではうまくいかない。時にマーケティングのような大人の都合と掛け合わせて、初めて成り立つと遠山氏はいいます。

素早く立ち上げ、見込みがなければ素早く撤退するという昨今の起業スタイルの逆をいくのが遠山氏の経営スタイルです。ちょっと見ると関係がなさそうな事業の背景にあるのは、数字ではなく「やりたいことをやるというビジネスモデル」だったのです。

参考:
1.遠山 正道: 経済合理性だけでは、苦しい時に粘れない ビジネスモデルとは「やりたいこと」の確信である(インタビュー) (DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文)

2.日経ビジネス「銀座のど真ん中でのり弁」スマイルズの挑戦 新規事業を続々と立ち上げる遠山正道社長の視点 斉藤 真紀子

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