かんぽの闇

これまでに発覚したかんぽ生命の不適切募集は報道によれば約18万件といわれています。「郵便局員の制服を着ているだけで高齢者は安心して話を聞いてくれた。」という郵便局員の発言がニュースで取り上げられていました。

今回の不適切募集の中で多かったのが保険料の「二重払い」と旧契約と新契約の間に空白ができて無保険期間が生じる「無保険状態」です。旧契約をそのままに新契約を締結し、6ヵ月以降に過去の契約を解約すれば、新規契約扱いになる。また、旧契約を解約し、3ヵ月たって契約すれば新契約になるというルールを悪用したのです。なぜ、このような顧客を無視したことが横行するのか。それは、単なる保険の乗り換え契約よりも、新規契約扱いにする方が手当が2倍になるからです。

「郵便局の保険販売は稼げる」という評判がたち、金儲けのために中途入社してくる局員が後を絶たないと言われます。一攫千金を狙う中途採用組とノルマ達成のために中途組の力に頼らざるをえない支社や郵便局の現実。この構図が顧客の利益を無視した契約を大量に生み出してきたのです(参考:週刊東洋経済「かんぽの闇 金融商品の罠」)

しかし、果たしてこれはかんぽ生命だけの問題なのでしょうか。他の金融機関は適切な営業を行っているのでしょうか。乱暴を承知で言えば、金融商品は、企業の取り分が多くなればなるほど、顧客に還元されるお金が減る仕組みになっています。

拙著「道具としてのファイナンス」にこんな文章を書きました。


南山大学の吉本佳生先生*は、著書の中で「金融機関は、風俗業界と同じような商売のやり方をしていると思っておけば、おおむね正しいイメージでつきあうことができる」としています。どちらも、「欲望が判断を狂わせる」という点をうまく突いて、「ぼったくり商品」を売っているということです。

(中略)

多かれ少なかれ、「価格の不透明性」が収益の源泉であるというのは、どんなビジネスにも当てはまることです。それが顕著なのが、風俗業界と金融ビジネスということでしょう。

*当時の肩書、現在はエコノミスト、関西大学大学院 特任教授


目に見えないものを販売し、顧客よりも圧倒的な知識、情報を持つ職業人はそれだけ高い倫理観が必要です。ただ、それがいかに難しいかは、ビジネススクールでわざわざ「倫理」の授業があることからも分かります。卑怯な金儲けは決して長くは続きません。買い手である顧客が本当に必要なものを提供するのがプロの職業人であると思います。

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