リスクとは危険ではない

リスクと聞くと、我々は良くない出来事を想像します。たとえば、品質問題だとか、工場火災だとかいったことです。

ファイナンスのリスクは、「危機」という東洋の文字がその本質を的確に表している。

こう言ったのは、私のビジネススクールのファイナンスの先生です。危険の危と機会の機とが組み合わさったのが危機という漢字です。つまり、プラスとマイナスの両方の側面を持つのがファイナンスにおけるリスクの定義だというのです。

これでは、まだよくわかりませんね。株価の上昇や下落で考えると分かりやすいかも知れません。株価の上昇をプラス、下落をマイナスと考えるならば、このプラスとマイナスのふれ幅が大きいことがリスクが高いということなのです。言い換えれば、バラツキが大きければ、リスクが高いと言うわけです。

「パンダをいくらで買いますか?(野口真人著)」という本にこんな面白いクイズがあります。ちょっと考えてみてください。

次の選択肢の中でどれが一番リスクが高いか?

Ⅰ 五階から飛び降りる

Ⅱ 二階から飛び降りる

Ⅲ 東京スカイツリーの頂上から飛び降りる

どれが一番危険かと聞かれれば、東京スカイツリーと答えるでしょう。リスクとは、危険ではなく、バラツキです。なんのバラツキかと言えば、「想定される結果のバラツキ」です。

東京スカイツリーから100人飛び降りたら、なにが想定されるでしょうか。そうです。100人全員確実に死亡です。バラツキなし。つまり、リスクフリーです。それでは、二階から飛び降りる場合はどうでしょうか。何人かは、打ち所が悪くて亡くなるかも知れませんが、多くの人々は生き残るはずです。そう考えると五階はどうでしょうか。一番、ばらつくのではないでしょうか。

ファイナンスにおけるリスクとは、かくも世間の常識とかけ離れているのであります。

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