三菱ケミカル、経営管理に投資効率ROICを導入

日経新聞(2017年1月25日付)によれば、三菱ケミカルホールディングスが4月からROIC(投下資本利益率)を経営管理の指標に導入するそうです。

ROICは30ほどある事業ユニットごとに算出し、目標値はフィルムなどの機能商品で8%、素材で5%、医薬品などのヘルスケアで5%となっています。

企業は、資金調達コストである加重平均資本コスト(WACC)を上回るROICを稼ぎ出す必要があります。同社は、WACCを業界平均を参考にして部門ごとに3~5%に設定しています。ROICがWACCに届かなければ改善策を求め、改善できなければ持ち株会社が事業の撤退や売却を検討するとしています。

一方で、同社はROICだけではなく、売上高成長率もユニットの評価に含めています。実は、ROICだけではダメなのです。なぜなら、企業価値増加のドライバーとなるのは、ROICと成長率だからです。

ROICは高ければ高いほどいいわけですが、成長率は必ずしもそうではありません。ROICが高水準にあるときには、成長率が高いほど企業価値は高くなります。しかし、ROICがWACCより低い場合、成長率が高ければ高いほど企業価値を毀損することになります。

仮にROICがWACCを上回っていたとしても、注意することがあります。このROICと成長率の関係について、マッキンゼー 「企業価値評価(第5版)」には次のように記述されています(残念ながら、具体的な前提条件、計算方法については記載がありません)。


ブランドが確立した消費財メーカーのようにROICが高い企業の場合には、成長率を1%上げることによって企業価値を10%増やすことができる。

他方、一般的な小売業のようにROICが中程度の企業の場合、成長率を1% 上げても企業価値は5%しか増加しない。

また、ROICが中程度の企業の場合には、ROICを1%向上させることによって企業価値を15% 増加させることができる。他方、ROICが高い企業の場合には、ROICを1% 向上させても企業価値は6%しか増加しない。


もちろん、ROICを1%向上させることと、成長率を1%上げることの難しさは同じではないでしょう。ただ、ROICが高い企業は成長に専念し、ROICが低い企業はROICの向上に専念すべきということは言えそうです。

今後の三菱ケミカルホールディングスの業績、株価がどうなるか興味があるところです。

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