ゲーム情報誌「ファミ通」によれば、任天堂の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の国内販売台数が3月の発売から17週間で早くも100万台超えを達成したといいます。
そのせいか、任天堂の株価は7月に入って小休止といったところですが、6月までは目を見張るほどの勢いを見せていました。一時は時価総額でライバルのソニーを追い抜きました。
(出典:ロイター)
これは驚愕すべきことです。ソニーのゲームセグメントの2017年3月期の営業利益1,356億円に対して、任天堂の連結の営業利益は294億円です。ソニーのゲームセグメントの営業利益は任天堂の4.6倍もあります。ソニーの連結営業利益は、2,888億円ですから、これまた任天堂のおよそ10倍です。この両社の時価総額がほぼ一緒というのは普通考えられないことだからです。
ロイターによれば、任天堂の企業価値(EV)は、EBITDAの72倍。一方、ソニーはわずか6倍です。これは市場が任天堂の業績が今後さらに成長すると考えていることに他なりません。
任天堂の2018年3月期の業績予想はどうなっているでしょうか。任天堂は売上高7,500億円(前期比53%増加)、営業利益650億円(前期比121%増加)と増収増益になると予想しています。ただ、この水準では、現在の任天堂の時価総額を正当化するには無理があります。
任天堂の連結キャッシュフローを見てみましょう。過去5年でみれば、なんと2年間が営業CF(青い棒グラフ)がマイナスとなっています。FCF(グレー折れ線グラフ)は3期連続マイナスであり、足元ではプラスに転じていますがこれは有価証券売却などで投資CF(オレンジ棒グラフ)がプラスになっているだけであって、営業CFはむしろ前期比減少していることが分かります。
今後の任天堂のFCFがどうなっていくか、注視していく必要があるでしょう。