ソニーグループが好調です。ソニーグループは、2022年3月期の連結営業利益が1兆2000億円(前期比26%増)になる見込みだと発表しました。営業利益で1兆円の大台を超えるのはソニーグループにとって初めてのことです。
ソニーグループと言えば、いまや、ゲームや映画、音楽などのエンタメの会社という印象があります。実際のところ、連結営業利益の約6割がこのエンタメ部門で稼ぎだしています。今期は、祖業のElectoronics Products & Solutions(エレキ関連)も、デジタルカメラ、テレビ、オーディオ、ビデオの販売台数減少を製品ミックスの改善やコスト削減で補い、営業利益は2100億円と前期比+64%の増益を見込みます。
出所:ソニーグループ 2021年度 第3四半期連結業績概要
過去5年の連結キャッシュフローの推移を見てみましょう。毎年1兆3000億円もの営業キャッシュフローをコンスタントに稼いでいることがわかります。ただ、過去3年では、その営業キャッシュフローを上回る投資を行っており、FCFがマイナスになっています。先月には、人気ゲーム「デスティニー」を開発するバンジーを36億ドル(約4100億円)で買収すると発表しました。
出所:2020年度 有価証券報告書
「大型のIP(知的財産)の獲得や新たなゲームの利用者を取り込み、エコシステムを拡大する」。オンライン記者会見で十時裕樹副社長は米バンジー買収の狙いをこう語ったといいます。積極果敢に投資をするソニーグループですが、その前にはマイクロソフトなどのテック企業が立ちはだかっています。そのマイクロソフトは、ユーザー数1億人以上のソフトを持つ企業を約8兆円で買収すると発表しています。コングロマリットであるソニーグループは、今後、営業活動で得られるキャッシュをどの事業ドメインに配分していくか、まさに真価が問われると言えます。