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黄色信号がともったニトリ

ニトリホールディングス(HD)の2022年3~8月期決算は増収減益となり、36期連続の増収増益の目標に黄信号がともっています。ニトリHDはこれまで35期増収増益を続けており、2023年3月期も増収増益の業績予想を立てています(ニトリHDは今期より決算月を2月から3月決算に変更します)2022年3~8月の6カ月累計の売上高は4230億円と前期同期比2.1%プラスの増収ですが、営業利益は690億円と同10.9%マイナスの減益となっています。

ニトリHDは決算説明資料で、22の主要経営効率について、目標に達したかどうかを〇と×で分かりやすく示しています(下図参照)。20年3~8月期は19勝3敗、21年3~8月期は18勝4敗となり、22年3~8月期は14勝8敗と悪化傾向にあります。22年3~8月期に評価が×になってしまったのは、総資本経常利益率(目標7.5%以上に対して7.1%)、自己資本当期純利益率(目標7.5%以上に対して6.8%)、総売上高増加率(目標10%以上に対して2.1%)、坪あたり在庫高(目標9万円以下に対して9.2万円)です。成長に翳りが見え、在庫が増加し、収益力が落ちていることがわかります。


出所:ニトリホールディングス 2023年3月期 第二四半期決算説明会資料

既存店舗の売上高に関しては、客単価は102.5%と改善していますが、2020年のコロナ禍による巣ごもり消費によって、客数は前年比115.9%と大きく増加したものの、その反動減から2022年は同比96.1%と客足は戻っていないことがわかります。既存店の売上高は前年比98.5%ですから、新規出店による売上で増収をなんとか確保していることがわかります。

収益力の悪化の要因はコスト増加です。経常利益ベースで、円安の影響が前年同期間比で71億円のマイナス、また貿易費用等で64億円のマイナスの要因となっています(下図参照)。こうした足元の業績の影響もあるのか、ニトリHDは今回、米国事業からの撤退を決めました。2013年10月に1号店をオープンしてから、2017年には最大で5店舗までいきました。2023年4月までに現存する2店舗を閉店する予定です。世界一変化が激しく、競争が激しい市場と言われる米国では、さすがのニトリHDも歯が立たなかったといえます。今後は有望な市場である東アジア、東南アジア地域に店舗展開していくと発表しています。


出所:ニトリホールディングス 2023年3月期 第二四半期決算説明会資料

似鳥会長は日経ビジネスのインタビューに「ここ数年、いけいけどんどんと売り上げ増のほうにいってしまった。今年(22年)は苦しいが、筋肉質にするチャンスだ」と答えています。まさに似鳥会長の経営手腕が問われる状況といえます。今後のニトリHDの動向を注視したいと思います。

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