英国の「チャリティーズ・エイド・ファンデーション」という慈善団体は、毎年「世界寄付指数」というランキングを公表しています。このランキングは、100カ国以上の人々を対象として、次の質問を行った結果から導き出されたものです。
過去1ヶ月間に以下のいずれかを行いましたか?
・知らない人や助けを必要としている人を助けましたか?
・慈善団体にお金を寄付しましたか?
・組織に自分の時間をボランティアとして提供しましたか?
2022年度の結果を見ると、インドネシアが1位、ケニアが2位、米国が3位となりました。一方、日本は総合で118位。トップ10にはオーストラリアやニュージーランド、ミャンマーなどが名を連ねています。ランキングの結果は、経済力だけでなく、各国の文化や伝統、人々の生活様式にも影響されていることが伺えます。
日本のランキングがなぜ、このような結果になるのでしょうか。九州工業大学名誉教授の佐藤直樹氏は次のように説明しています。
日本の「世間」と「社会」の二重構造が理由として挙げられます。「世間」とは「顔見知りの人がつくる関係」、一方「社会」とは「見知らぬ人がつくる関係」と定義されます。日本には『万葉集』の時代から「世間」が存在しており、一方で「社会」という概念は明治時代に欧州から輸入されたものです。
問題点は、日本では明治以降、伝統的な「世間」と新しい「社会」の二重構造が形成され、世間が真実(ホンネ)で、社会が建前(タテマエ)となってしまったことです。日本人は顔見知りの人には親切にするが、見知らぬ人には無関心で助けない傾向があるのです。
出所:世界の「人助けランキング」ビリから2番目に”納得の理由” 週刊ダイヤモンド2023/9/9
また、日本寄付財団は「なぜ日本人は寄付をしないのか」という論文を掲載しています。その論文のポイントは次の3点です
・7割以上の日本人が寄付したお金がきちんと使われているのかに不安を感じている。
・日本人の間では寄付を集める慈善団体に対する不信感も極めて高い。
・自己責任意識が強い人ほど寄付意識が弱い。
これらの課題を克服するためには、慈善団体やNPOが寄付の使途の透明性を高め、活動の成果を明確に報告することが求められるでしょう。私自身も、友人が紹介してくれた組織「フローレンス」に毎月寄付をしています。この組織は定期的に活動報告を行い、その信頼性から私は安心して寄付を続けています。私たち一人一人が信頼できる組織を見つけ、寄付をすることで、日本の寄付文化を変えていく第一歩となるかもしれません。
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