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「率」と「額」

講義の中でこんなことを質問することがあります。

「もし、XXさんが100円を私に投資してくれるのであれば、お帰りの際に150円にしてお返しします。これが選択肢A。もし、1000円を私に投資してくれるのであれば、1100円にしてお返しします。これが選択肢B。どちらもリスクはなし。XXさんは全くお金に困っていないとします。どちらを選びますか?」

あなただったら、どちらを選びますか。

およそ、20%の方が選択肢Aを選びます。理由を聞けば、率がいいからというわけです。確かに、選択肢Aの利回り(収益率)は、50%です。一方で、選択肢Bの利回り(収益率)は10%です。

選択肢Aを選んだあなたは、間違いです。50円増えるのと100円増えるのでは、100円増える方が嬉しいはずです。ファイナンスの目的のひとつは、企業価値の最大化です。企業価値「率」ではなく、企業価値「額」の最大化なのです。

「経営は率より額が大切」

これは昔から中小企業の社長の間で言われている言葉だそうです。「率」が大切ではないというつもりはありません。ただ、「率」だけをみていると意志決定を誤る場合があるということを私たちは頭の片隅に置いておく必要があるでしょう。

率指標であるIRR(内部収益率)は、優先順位づけに使えないということは知っておいて損はありません。

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