未上場企業のβは、その企業が属する業界の類似上場企業のβを参考にします。この場合、類似企業と資本構成(EquityとDebtの比率:D/E)が異なることから、調整が必要になります。類似企業が無借金会社であれば、問題ありませんが、通常は負債があるはずです。
このような場合は、負債がある場合のβL(Levered β:レバードベータ)から、次の式によって負債のない場合のβU(Unlevered β:アンレバードベータ)を計算し、最後に未上場企業の資本構成に基づくβLを計算し直すという作業が必要です。
$$β_L=(1+\frac{D}{E}✕(1-TAX))✕β_U$$
もちろん、上記の式は未上場企業のβを計算するときだけに使うものではありません。上場会社が、資本構成を変更した場合のをβLを試算する場合にも、使うことができます。
以下の例では、同業他社(上場会社)6社のUnlevered βの平均値(0.60)を業界のUnlevered βとし、X社(未上場)のD/E比率と実効税率からLevered βを0.96と求めています。リスクフリーレート(Rf)を2.00%、リスクプレミアム(Rp)を5.00%と仮定すると、X社の株主資本コストは6.79%であると求めることができます。