2017年6月28日付日経新聞によれば、欧州連合(EU)の欧州委員会は27日、米アルファベット傘下のグーグルがEU競争法(独占禁止法)に違反したとして、24億2000万ユーロ(約3000億円)の制裁金を払うよう命じたとあります。
インターネット検索市場での支配的地位を乱用し、買い物検索で自社サービスを優遇するなど公正な競争を阻害したと判定したというのです。これは、欧州委による独禁法違反を巡る単独企業への制裁金では過去最高額です。
企業と国家との攻防が繰り広げられる中で巨額の制裁金を請求されるケースは今後ますます増えてくる可能性があります。企業と国家との攻防は、なにも制裁金ばかりではありません。他にも税金があります。
欧州委は16年8月には、米アップルが違法な「税優遇」を受けていたとしてアイルランド政府に130億ユーロ(1兆5000億円)の追徴課税を命令しています。欧州委によれば、2014年のアップルの法人税率は、0.005%だといいます。
話は変わりますが、2017年5月末時点での世界の時価総額トップ5は、アップル、アルファベット、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブックです。時価総額の合計は2.9兆ドル(約320兆円)です。
この米国IT5社が今、現金を積み上げています。2017年3月末時点で5社の現金合計は37.6兆円(1ドル111円換算)です。これが2020年には2倍になると予想されているのです。
もしかすると現金を積み上げる一因は突然の制裁金への備えかも知れませんし、税金かも知れません。エコノミスト誌によれば、5社は現金総額の80%を海外で保有し、利益を本国に還流する際に払う税金を先送りしているといいます。
下図は各社の総資産に占める現金同等物の割合を表したものです。
(出典:各社アニュアルレポート 作成:オントラック)
アップルは、手厚い配当を出しており、2019年までの自社株買いの予算も立てており株主還元に積極的です。一方、アマゾンは、16日、米高級スーパーマーケットチェーンのホールフーズ・マーケットを137億ドル(約1兆5200億円)で買収すると発表するなど投資に積極的です。
これらの2社は別としても、アルファベット、マイクロソフト、フェイスブックの3社の総資産に占める現金同等物の割合が半分を占めるほどであるというのは驚きです。
今後、こららの5社が手元現金をどのように使っていくか、楽しみであるとともに投資家としては注意が必要でしょう。