日本の公的年金制度は、現役世代が支払う保険料が高齢者に給付される仕組みになっています。ところが、少子高齢化が進んでいるため、今のままでは、将来の現役世代の負担が重くなってしまいます。そこで、将来のために独立行政法人のGPIFが積立金を運用しています。
GPIFの運用資産額は149兆円(平成29年6月末)と世界最大の規模です。運用開始した平成13年度(2001年)からの累積収益額は58.5兆円となっています。
2017年3月末でのGPIFの保有株式数は、2200社を超えます。現在の上場会社数はおよそ3600社ですから、上場会社のおよそ60%の株式を保有していることになります。
GPIFは信託銀行などに委託して間接的に株を保有していることから、各企業の有価証券報告書の「大株主」名簿には記載されません。そこで、GPIFが保有する上位10社についてGPIFが仮に大株主として記載されるとしたら、株主順位はどうなるかを推定してみました。
保有時価総額トップのトヨタ自動車は保有比率は、6%で株主順位は3位ですが、ホンダをはじめ、三大メガバンクはすべて筆頭株主となっていることがわかります。
保有銘柄トップ10の顔ぶれをみるとすべて東京市場における時価総額トップ20にランクインしている企業です。こんなことでしたら、運用機関に高い手数料を支払うのではなく、TOPIXに連動するインデックスファンドで運用すればいいのではないかと思ってしまいます。
今までは、GPIFが多くの大企業の株価を下支えしてきたのかも知れません。ただ、忘れてはならないことは、いつかはこの保有している株式を売却しなくてはいけないということです。その時の株価へのインパクトは想像以上であると思います。