いい会社の定義は人や立場によって違うしょう。ここでは、資金提供者である株主と債権者の立場でいい会社の定義を考えてみたいと思います。
結論から言えば、株主と債権者とでは、いい会社の定義が異なります。株主は企業の成長性を重視し、債権者は安定性(安全性)を重視します。なぜこのような違いが生まれるのか。それは資金提供の方法とその見返りの受け取り順序の違いからくるものです。
企業は債権者からの資金調達の際には、金銭消費貸借契約書などの契約書で借入金額、返済期限、そして支払う利息の利率などを明確に約束します。
一方で、企業が株式を発行して株主から資金調達を行う際には、契約書などありませんし、株主に対して、配当はいくらで株価をいくらまで上げますなどと約束することはありません。
また、資金提供の見返りを受け取る順序にも債権者と株主とでは違いがあります。損益計算書と利害関係者との関係(スライドをクリックすると拡大)をみてみると、資金提供の見返りが株主の手に渡るのは最後の最後なのです。
債権者の見返りが企業が成長しようが成長しまいが契約で決まってしまっているのに対して、株主は企業に成長(売上増加)してもらわないと自分の取り分が増えないわけです。
こうしたことから、株主にとっては成長する会社がいい会社。債権者にとっては、むしろ成長するために危なっかしいことをするよりも、安定的に利息や元本の返済をしてくれるのがいい会社であるというわけです。