税金をめぐる攻防

2021年6月5日に閉幕したG7の財務相会合で「法人税の最低税率を少なくとも15%とする」とした共同声明を採択しました。この背景には30年間に及ぶ各国の法人税引き下げ競争が税収減を招いたこと、またコロナ禍での歳出拡大によって財政が悪化したことがあります。

この声明は米国の大手IT企業を意識したものです。日経新聞によれば、グーグルの親会社、アルファベットとアップル、フェイスブック、アマゾンのGAFAの税負担率は15.4%で、世界平均(25.1%)より9.7ポイント低いことがわかっています。ちなみに日本企業の平均は28.3%です。

GAFAは数百人規模の税務、法務の専門スタッフを抱え、各国の制度を調べ上げ、脱法スレスレの節税スキームを作ることに熱心だと言われてきました。さらに、GAFAは情報やデータなど無形資産を利益の源泉としています。知的財産など無形資産をアイルランドなどの低税率国の関係会社で持つことによって節税を行ってきたという指摘もされています。

例えば、アマゾン・ジャパンが数年前まで法人税をほとんど払っていなかったことは有名な話です。以前のアマゾン・ジャパンは業務を販売支援やアフターサービスなどの補助的なものに限定していました。中核の販売や決済に関するシステムは米国内にあります。私たちが日本のアマゾンで買い物をしてもその売上は米国内で獲得したことになっていました。アマゾン・ジャパンの売上は米国の本社から受け取る業務委託料のみで課税対象となる利益は低く抑えられていたというわけです。

この流れにも変化が起きています。アマゾン・ジャパンも今や日本国内で税金を支払い始めています。その背景には、先に述べたように国際的な法人税率に関する議論の盛り上がりがあります。また、日本国内の市場を開拓する上で契約主体が外国法人だと制約があります。アマゾンが今後力を入れていきたい企業向けの通販や医療機器販売は規制上、国内法人しか出来ないようです。さらにアマゾンの稼ぎ頭であるアマゾン・ウェブ・サービス(AWA)などのクラウドサービスを自治体向けに売り込んでいく際に納税額が少ないままだと不利に働く可能性があると指摘されています。いずれにせよ、グローバル化とデジタル化が進む中で、国家とIT企業との税金をめぐる攻防はこれからも続いていくことでしょう。

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