2025年に入り、主要なAI事業者が次々と「ディープリサーチ」機能をリリースしています。これらの機能は、単なる検索を超え、複数の情報源から自動的にデータを収集・分析し、包括的なレポートを生成する新たな技術です。
このテクノロジーは、関連する検索を数十回行い、数百のリソースを精査し、推論モデルを用いて各情報を段階的に論理的に処理する複雑なプロセスを実行します。実行には時間がかかるものの、人間が何時間もかけて行う調査作業を数分から数十分で完了させることが可能になります。
ChatGPTのディープリサーチ機能は、有料プランのみ利用可能です。私が契約しているChatGPT Plus(月額3,000円)では、月に10回まで利用できます。ちなみに、ChatGPT Pro(月額3万円)では、月に120回まで利用できます。
Perplexity AIは、無料プランでもディープリサーチ機能を1日5回まで利用できますのでお得です。今回は、Perplexity AIのディープリサーチ機能を使って、アマゾンの事業撤退の歴史をリサーチしてもらいました。
創業初期からの撤退事例(1990年代~2000年代前半)
アマゾンは1994年の創業以来、書籍販売からスタートし、徐々に事業領域を拡大してきました。しかし、すべての挑戦が成功したわけではありません。創業初期には、オンライン市場の黎明期ならではの実験的サービスからの撤退が見られます。アマゾン・オークションズ(1999-2000)
アマゾンの最初期の撤退事例として、「アマゾン・オークションズ」が挙げられます。eBayをライバルとして1999年に開始されましたが、わずか1年で撤退しています。当時のオンラインオークション市場ではeBayが圧倒的な優位性を持っており、アマゾンは後発の不利を覆せなかったと考えられます。Zショップス(1999-2007)
「Zショップス」は個人や小規模ビジネスがアマゾンのプラットフォーム上で独自の商品を販売できるサービスでした。1999年に開始され、2007年まで続きましたが、現在のマーケットプレイス構想へと発展的に解消されたと考えられます。検索エンジン「A9」(2004-2008)
アマゾンは2004年に独自の検索エンジン「A9」を立ち上げ、Googleやヤフーと検索市場で競争しましたが、2008年に撤退しています。検索エンジン市場でのGoogle優位が確立される中、アマゾンは商品検索に特化する方向へ戦略を転換しました。拡大期の事業整理(2000年代後半~2010年代前半)
2000年代後半から2010年代にかけて、アマゾンは事業領域を急速に拡大する一方で、成果の出ない事業からは素早く撤退する戦略を取りました。この時期は「素早く試し、失敗したら素早く撤退する」という同社の経営哲学が顕著に表れています。アスクビル(2006-2013)
Q&Aサイト「アスクビル」は2006年に開始され、2013年まで運営されました1。知識共有コミュニティの形成を目指したものの、YahooアンサーズやQuoraなどの専門サービスとの競争の中で、差別化が難しかったと考えられます。アンボックス(2006-2015)
TV番組や映画の購入・レンタルサービス「アンボックス」は2006年から2015年まで提供されていましたが、Amazon Primeビデオサービスの強化に伴い、統合されたものと思われます。エンドレス・ドットコム(2007-2012)
靴とハンドバッグの専門サイト「エンドレス・ドットコム」は2007年から2012年まで運営されていました。アマゾンは2009年に靴の通販サイト「Zappos」を買収しており、エンドレス・ドットコムの撤退はこの買収と関連している可能性があります。アマゾン・ウェブペイ(2007-2014)
P2P送金サービス「アマゾン・ウェブペイ」は2007年から2014年まで提供されていました。PayPalなどの決済専門企業や後にApple PayやGoogle Payといった大手テック企業の参入により、競争環境が厳しくなったことが撤退の一因と考えられます。多角化戦略の見直し期(2010年代中盤)
2010年代中盤には特に多くの撤退事例が見られます。この時期、アマゾンはクラウドサービス(AWS)やプライム会員制度など、現在の主力事業の強化に経営資源を集中させる方向へと戦略を転換しています。ペイフレーズ(2009-2012)
合言葉による決済サービス「ペイフレーズ」は2009年から2012年まで提供されていました1。ユーザーの利便性と認知度の問題から、普及が進まなかったと推測されます。ウェブストア(2010-2016)
オンラインストア立ち上げ支援サービス「ウェブストア」は2010年から2016年まで運営されていました。Shopifyなどの専門プラットフォームとの競争が激化する中で、アマゾンはこの分野への投資を中止したと考えられます。マイハビット(2011-2016)
会員制タイムセール「マイハビット」は2011年から2016年まで提供されていました1。アマゾン本体でのファッション事業強化やプライム会員向けサービスの充実に伴い、独立したサービスとしての必要性が低下したと思われます。アマゾン・ローカル(2011-2015)
アマゾンの地域密着型サービス「アマゾン・ローカル」は2011年から2015年まで提供されていました。Grouponなどの先行サービスとの競争や、アマゾン本体での地域密着型サービスの統合が撤退の背景にあると考えられます。短命に終わったサービス群(2014-2015)
2014年から2015年にかけて、アマゾンはいくつかの新規事業を開始しながらも短期間で撤退しています。例えば「ファイアフォン」「アマゾン・エレメンツ」「アマゾン・ローカルレジスター」「アマゾン・ウォレット」「アマゾン・デスティネーションズ」などが挙げられます。特に「ファイアフォン」はスマートフォン市場でのAppleやSamsungとの競争の中で、市場シェアを獲得できなかったという明確な失敗例として知られています。地域戦略の見直しと大型撤退(2019年~現在)
2019年以降は、特定地域からの撤退や大型買収事業からの撤退など、より大規模な事業再編が目立ちます。中国市場からの撤退(2019年)
アマゾンは2019年に中国国内向けの「マーケットプレイス」事業から撤退しました。アリババや京東集団などの地元企業との競争が激化し、市場シェアが1%未満と低迷していたことが主な理由とされています。日用品EC直販からの撤退(2020年)
2020年には、日用品EC関連のQuidsi部門(Diapers.comとSoap.comを運営)を閉鎖しました。この部門は2011年に545億円で買収したにもかかわらず、黒字化の目処が立たなかったことが撤退の理由とされています。中国の電子書籍事業からの撤退(2022年)
2022年6月2日に、アマゾンは中国での電子書籍サービス「キンドル」事業からの撤退を発表し、2023年6月30日に停止すると公表しました。撤退理由は明らかにされていませんが、アマゾンは「政府の圧力や検閲が原因ではない」と述べています。ドイツでのアマゾンフレックス撤退(2022年)
2022年にはドイツ市場でオンデマンド配達サービス「アマゾン・フレックス」から撤退しました。注文数の減少が主な理由とされており、ドイツ人の根強い現金主義やEC市場の成長鈍化が影響していると考えられます。レジなし店舗技術「Just Walk Out」の見直し(2024年)
2024年には、スーパーマーケット型リアル店舗「Amazon Fresh」において「Just Walk Out」(レジなし決済)技術を廃止し、「Dash Cart」(スマートカート)に置き換える計画が報じられました。技術的課題や運用コストの問題から、戦略の見直しが行われたと考えられます。カナダ・ケベック州からの撤退(2025年1月)
2025年1月22日には、カナダのケベック州から撤退すると発表しました。この決定により、約1700人のフルタイム雇用が失われる形となっています。この地域は従業員が労組を結成していた唯一の拠点であり、労組側は「反労組・反組合員運動の一環」と批判しています。戦略的撤退の特徴と共通点
アマゾンの事業撤退事例を分析すると、いくつかの共通パターンが見えてきます。・素早い撤退判断
アマゾンは事業の成功可能性を見極め、将来性がないと判断した場合には迅速に撤退を決断する傾向があります。この資料(出典リンクあり)では、同社は「スピーディーに事業を起こし、失敗したとなったら早期撤退している」と指摘されています。特に創業期から2010年代にかけては、多くの新規事業を立ち上げながらも、成果が出ないものは素早く整理していました。・事業統合と集中戦略
アマゾンの撤退は単なる失敗というより、より大きな事業へと統合されたケースも多く見られます。例えば「アンボックス」はAmazon Primeビデオに、「Zショップス」はマーケットプレイスに統合されたと考えられます。この資料(出典リンクあり)においても、「撤退したと言ってもAmazonの事業にそのまま引き継がれているものが多く、無駄な投資になっていない点に注意が必要」と指摘されています。・地域戦略の見直し
特に近年は特定地域からの撤退が目立ちます。中国、ドイツ、カナダなど、各国・地域の市場環境や規制環境、競争環境に応じて戦略的に選択と集中を行っています。これは、グローバル展開の中で経営資源を効率的に配分する動きと解釈できます。結論
アマゾンの事業撤退の歴史は、同社の「迅速な実験と適応」という経営哲学を体現しています。1999年から現在まで数多くの事業に参入し、また撤退してきたアマゾンですが、そのプロセスは単なる失敗ではなく、次の成長に向けた戦略的な決断であることが多いと言えます。特に注目すべきは、撤退したサービスの技術やノウハウが他の主力事業に統合されることで、無駄な投資にならないよう工夫されている点です。また近年は、地域戦略の見直しや大型買収後の事業整理など、より大規模かつ戦略的な撤退判断が増えていることも特徴的です。
アマゾンの事業撤退の事例は、「選択と集中」の重要性や、失敗から学ぶ企業文化の価値を示すビジネスケースとして、他の企業にとっても貴重な教訓となるでしょう。常に変化し続ける市場環境の中で、アマゾンは今後も戦略的な参入と撤退を繰り返しながら、成長を続けていくものと予想されます。
いかがでしょうか。単にアマゾンが撤退した主要事業を時系列に並べるだけでなく、私が指示しなかった「これらの撤退事業からどのような示唆が得られるか」まで、考察してくれています。恐るべしディープリサーチ機能です。
こうしたアウトプットの質を目の当たりにすると、今後のホワイトカラーの仕事は、デスクワークからフィールドワークへとシフトしていくのは間違いありません。今回のような、調査やレポート作成といったデスクワークは、生成AIの力を借りて可能な限り効率化し、最小限に抑えることが求められます。それよりも、現場に足を運び、五感を使って社会課題を見つけることがより大切になるでしょう。
社会課題を解決するには、それこそ、さまざまな人を巻き込む必要があります。解決への情熱やリーダーシップが人を動かすものです。これらは人間だけが持つ能力です。生成AIというツールを最大限に生かし、さまざまな社会課題を解決できる世界が到来するように思います。