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国民一人当たり借金1000万円の嘘

2022年8月11日付日経新聞にこんな記事が掲載されました。「財務省は10日、国債と借入金、政府短期証券を合計したいわゆる「国の借金」が6月末時点で1255兆1932億円だったと発表した。3月末から13.9兆円増え、過去最多を更新した。国民1人あたりで単純計算すると、初めて1000万円を超えた」

ざっと読み流せば、日本の財政が悪化したという印象だけが残ることでしょう。ただ、よく考えてみれば、バランスシートの右側にある借金の議論ばかりして、左側にある資産の話が出てきません。物事の一面だけをとらえて、借金が多い少ないを議論してもしょうがありません。では、財務省作成の令和2年度(令和3年3月31日)のバランスシートを見てみましょう。

これをみると、「資産合計」は、1,121.0兆円、「負債合計」は1,661.2兆円です。「資産・負債差額」は▲540.3兆円ですから、やはり、資産を考慮しても債務超過の状況です。企業でいえば、実質破綻とされる状況です。やっぱり、日本は危機的状況にあるのでしょうか。ところがこのバランスシートは、日銀が除かれているのです。ちなみに日銀のバランスシートはこちらです。

日本国の真の財政状態は、政府と日銀の連結バランスシートをみてみないと分かりません。ところが、これが存在しないのです。現状が分からなくては、将来のために何をすべきか議論できません。早期の連結バランスシートの作成が望まれます。

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