ソニーから学ぶべきもの

先週末の7月5日、ソニー株が終値5950円と年初来高値を更新しました。ソニー株を約15億ドル(約1600億円)分保有している米国ファンドのサード・ポイントが「株価が下がれば、買い増すかもしれない」と言及したことから、買い増しを期待した投資家からの買い注文が入ったようです。

サードポイントはつい先日、ソニーに対して半導体事業を分社化して他社に売却すれば、「株主や顧客、従業員の利益になる」と申し入れして話題になりました。最近、マスコミに取り上げられることの多いソニーです。週刊東洋経済は「ソニーに学べ 成熟を成長に変える方程式」という特集記事で同社を取り上げました。

一度は「負け組」の烙印を押されたソニーです。そこから、二期連続の最高益を達成。ソニーの再成長の軌跡から日本企業が何を学ぶのでしょうか。中でも私たちが教訓とすべきなのは、「創業精神を時代に合わせて「アップグレード」せよ」だと思います。

ソニー創業者である井深大氏が1946年に起草した設立趣意書。この設立趣意書の「会社設立の目的」の最初にこうあります。

「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」

このソニーの創業精神を体現する言葉を前CEOの平井氏は「革新的な技術をもって、人々の生活向上に貢献することの重要性が述べられている」と解釈したといいます。そして、現在のソニーにマッチする形で再定義したのが「感動」でした。平井氏は常に感動企業であり続けるということを強調しました。

ソニーは赤字が巨額だったテレビを残し、なぜパソコンを売却したのでしょうか。このエレクトロニクスの不採算事業の選択と集中を推進する際にも平井氏が参考にしたのが、設立趣意書の「経営方針」にある次の二つです。

「不当なる儲け主義を廃し、あくまで内容の充実、実質的な活動に重点を置き、いたずらに規模の大を追わず」

「極力製品の選択に努め、技術上の困難はむしろこれを歓迎、量の多少に関せず最も社会的に利用度の高い高級技術製品を対象とす。(中略)他社の追随を絶対許さざる境地に独自なる製品化を行う」

ここから平井氏は「規模を追わず、違いを追う」という方針を明確化し、ソニーとして他社製品との違いで勝負することが難しいパソコン事業を売却。一方で家庭用ゲームや映像作品を表示する機器としてグループ内で親和性を発揮できるテレビ事業は残すことに決めたといいます。

ソニー創業の精神に立ち返り、企業アイデンティティーを「アップグレード」する。そして、それをV字回復のための事業選別の基準としたソニーの姿勢には多くの日本企業の経営者が学ぶべきものがあると思います。

2019年3月期は前期比22%増の営業利益8,942億円を達成しました。22年ぶりに最高益を達成した前期に続いての快挙と言えます。ただ、いまだに企業価値創造には至っておらず、ソニー復活に向けて道半ばと言えます。今後の更なる成長を期待したいと思います。

※参考ブログ「ソニーの企業価値創造

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