増し分で考える(後半)

前回に引き続き、「増し分で考える(後半)」です。今回はクライアント先で実際に起きた事例です。

そのプロジェクトは、企業価値経営を社内で根付かせるというものでした。設備投資判断のルールに関しては、その会社はすでにNPV法をつかっていました。

ところが、社内でその考え方が十分に浸透しているとは言えず、中には誤った理解をしている社員もいるというのが課題認識だったわけです。まず手始めに過去の大型設備投資案件の稟議書を見させてもらうことにしました。

その投資案件は、ある工場に10億円の生産ラインを増設するというもの。いわゆる追加投資です。キャッシュフローの予測期間も社内ルールに基づき、法定耐用年数の10年間となっていました。

NPVはプラスでもあり、設備投資は実施済でした。ところがキャッシュフローの考え方が間違っていたのです。10億円のキャッシュフロー(アウト)に対して、キャッシュフロー(イン)が工場全体から生み出されるものだったのです。

なぜ間違いなのでしょうか。工場全体から生み出されるキャッシュフローは、既存の生産ラインから生み出されるものを含んでしまっているからです。ここでも、「増し分で考える」必要があります。

つまり、10億円の投資をすることによって、増加したキャッシュフローに着目する必要があるのです。増設した場合のキャッシュフロー(工場全体)から増設しなかった場合のキャッシュフロー(工場全体)をマイナスすることでキャッシュフローの増加分を求めることができます。

このように、投資でも、増し分で考えなくては投資判断を誤る可能性があるのです。

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