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市場から消えるソフトバンクG

ソフトバンクグループが半導体設計のARMの売却を決めました。ARMを3.3兆円で買収したのは、2016年です。当時、ソフトバンクグループの社外取締役であった日本電産の永守会長兼社長(現会長)はこの買収についてこう言っていました。

「社外取締役を務めているので、私もARM買収の議論の場にいた。孫さんは30年~50年先を見て、3兆3000億円も出してARMを買収した。ただ、技術革新のスピードは速いので、私にそんな勇気はない。私なら3300億円でも買わないでしょうね」

エヌビディアへの売却額は最大400億ドル(4.2兆円)にのぼるといいます。結果的に1兆円近くのキャピタルゲインを得ることになります。ただ、「長年の恋人」とも言っていたARMと別れることを決断した孫氏はどこに向かおうとしているのでしょうか。

2021年3月期1Qの決算説明会では、孫氏は、織田信長が長篠の戦いで採用した鉄砲隊を守る馬防柵を防御に例え、防御は戦うために重要であり、ソフトバンクグループにとっての防御は現金だと言いました。


出典:ソフトバンクグループ決算説明会資料

ソフトバンクグループは、3月に保有資産の売却により1年間で4.5兆円をつくると発表しました。今回の決算発表では、Tモバイル、アリババ、ソフトバンクの株式売却で、すでに4.3兆円を資金化したと発表しています。半年足らずのうちに計画の95%を達成しています。さらに今回のARM社の売却ですから驚くべきスピードで資金化を行っているのがわかります。

資金化した現金をつかって巨額の自社株買いを進めていることから、最近取りざたされているのがMBO(マネジメント・バイアウト)です。MBOとは経営者(マネジメント)による買収(バイアウト)を意味します。上場企業の場合は、MBOによって市場に流通している株式を買い取ることになりますから、未上場になります。

外部の株主がいなくなるので、経営者にとって経営の自由度が高まり、4半期ごとの短期的な業績に囚われることなく、中長期な視点で経営できるというメリットがあります。いずれにしても、ソフトバンクグループの動向からは目が離せません。

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