持ち合い解消進まず

2018年7月5日の日経新聞によれば、上場企業による政策保有株の削減スピードが鈍っているといいます。政策保有株とは、株式会社が相互に保有している株式のことをいいます。持ち合い株式ともいいます。

この政策保有株ですが、メガバンクは15年度から削減目標を定めて持ち合い解消に動いてきたものの、事業会社間の持ち合い解消は遅れているのです。

株式の持ち合いというのは、戦後、取引先との関係強化や安定株主づくりのため行われてきました。ところが投資家にとっては、この株式の持ち合いは評判がよくありません。

取引先と株式を持ち合っていたところで、株主としてお互いの経営に対して口出しすることはありません。したがって、経営の規律が緩むわけです。また、本業と関係のない株式を持つことで資産効率が低下することにつながるからです。

それでは、政策保有株が多い企業はどこかでしょうか。日経新聞が東証1部上場の時価総額2000億円以上の企業(金融除く)を対象に、直近の本決算で総資産に占める「特定投資株式」(純投資以外の目的で保有する株式)の割合が大きい順にランキングしています。


出典:2018/4/11付日経新聞

建設や印刷会社がランクインしていることがわかります。株式を保有することで継続的に受注する狙いがあるのでしょう。

ただ、今後はますます持ち合い解消への市場からの圧力が高まってくるはずです。金融庁は、6月1日付「投資家と企業の対話ガイドライン」の確定を発表しました。このガイドラインの中で政策保有株式の保有目的のみならず、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査することまでも求めているのです。上場企業はこの要請に応えていく必要があるのです。

次回は、ある企業の財務部の方から質問された「具体的に政策保有株の便益やリスクが資本コストに見合っているかをどう検証していくのか」についての私なりの考えをお話したいと思います。

【ご参考】出典:投資家と企業の対話ガイドライン 一部抜粋


4.政策保有株式
【政策保有株式の適否の検証等】
4-1. 政策保有株式について、それぞれの銘柄の保有目的や、保有銘柄の異動を含む保有状況が、分かりやすく説明されているか。個別銘柄の保有の適否について、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査し、取締役会において検証を行った上、適切な意思決定が行われているか。そうした検証の内容について分かりやすく開示・説明されているか。
政策保有株式に係る議決権の行使について、適切な基準が策定され、分かりやすく開示されているか。また、策定した基準に基づいて、適切に議決権行使が行われているか。

4-2. 政策保有に関する方針の開示において、政策保有株式の縮減に関する方針・考え方を明確化し、そうした方針・考え方に沿って適切な対応がなされているか。

【政策保有株主との関係】
4-3. 自社の株式を政策保有株式として保有している企業(政策保有株主)から当該株式の売却等の意向が示された場合、取引の縮減を示唆することなどにより、売却を妨げていないか。

4-4. 政策保有株主との間で、取引の経済合理性を十分に検証しないまま取引を継続するなど、会社や株主共同の利益を害するような取引を行っていないか。


 

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