閑古鳥なく官民ファンド

2017年8月26日付日経新聞によれば、安倍政権下で2013年以降に設立した官民ファンドの数は今や14。3月末で各省庁からの現役出向は110人に達し、国は約8千億円を投じています。出資金に借入金への政府保証枠を加えれば約4兆円。3月末までに使ったのは1兆5千億円。過半は革新機構の投資で、多くのファンドは投資先に困っている状況です。

例えば、農産物の加工・販売を支援するファンド(以下A-FIVE)は投資枠319億円に対し、実際の投資は7月末までの4年半で59億円です。

原因は、まずは官民の意識のズレです。例えば、A-FIVEでは、事業リスクを分離するために生産者に別会社をつくらせ、そこにファンドが出資する仕組みになっています。ところが、補助金に慣れた生産者は自ら出資することに予想以上に慎重であるということです。

また、そもそも官民ファンド設立の経緯にも問題の原因があります。12年末に政権復帰した第2次安倍政権は成長戦略を各省庁にひねり出させました。補助金と違い最後は国に資金を戻す建前なので予算を取りやすいことから、09年設立の産業革新機構をまねた官民ファンド新設案が次々と集まったという経緯があります。

民間ファンドの場合は、資金を余らせないように実需に応じて資金を集めることが多いわけですが、官民ファンドの場合は、ひとまず予算を取りにいくために各省庁は、実需とかを気にせず、甘い事業計画に基づいて出来るだけ多くの資金を集めようとします。

その結果、当たり前ですが、実需は基づいて設立されたわけではないファンドの巨額資金が無駄に眠っていることになっているのです。器ばかり多くて、資金は余っています。器の数が多いということはそれだけ、コストが発生するということです。

先述したA-FIVEは役職員数が50人を超し、16年度までの経費は累計40億円強。最終赤字額は累計で45億円に達したといいます。このままでいけば、単に資本を食いつぶすだけです。各省庁の天下りポスト確保のためだけに器だけが存在しているとも言えます。

総額1千億円強の大学発ベンチャーファンドも利用は1割未満です。これに対して、「大学に残っているお金は国庫返納も検討すべきだ」。7月27日、自民党の行政改革推進本部は官民ファンドの提言書をまとめました。

こうした流れが出てくると懸念されることは、資金を使い切ろうと焦って、筋が悪い案件に手を出すというファンドが出てくることです。官民ファンドのガバナンスのあり方の議論が可及的早期に出てくることを望みます。


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