2019/4/2付日経新聞によれば、ソフトバンクグループは4月に5000億円の普通社債を発行する方針だといいます。これは、日本企業による円建ての普通社債では過去最大です。
調達した資金は、2014年5月に発行した年限5年の個人向け社債(3000億円)の償還などにあてると言います。今回の社債発行も機関投資家向けではなく、個人向けです。期間は6年で、利率は年1.3~1.9%の間で12日に決定する予定です。
ソフトバンクグループの後藤芳光CFOは今回の調達の狙いをこう説明しています。
「1%を超える利率を提供することで、個人の投資ニーズに引き続き応えていきたい」
本当のところは、アマチュアが多い個人はソフトバンクグループのリスクなどお構いなしにリターンだけをみて投資するからでしょう。実際、ソフトバンクグループの長期債格付けは日本格付研究所が投資適格のA-であるものの、S&PはBB+、Moody’sはBa1と投機的水準です。
プロの機関投資家は年率1.3~1.9%ではソフトバンクグループのリスクに見合わないと考える可能性があるのです。以前、ご紹介しましたが、2016年には機関投資家には人気がなかったソフトバンクグループの社債が、個人には大人気だったことがあります(「売れないソフトバンクの社債」)。
今回も、リスク・リターンのバランスを考えない個人投資家はこぞってこの社債に殺到することでしょう。なぜなら、個人は預金利率と比較して高いというだけで投資する人が多いからです。
ソフトバンクグループと銀行預金と比較しても意味はないものを比較しています。そこにはリスクという概念が全く抜け落ちています。銀行預金の利率よりも社債の利率が高いことの意味をよく考えて欲しいものです。