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個人資産2000兆円の使い方

日経新聞によれば、家計の金融資産が2021年3月末で2000兆円の大台に乗りました。このうち、現預金の比率は54%ですから、1000兆円以上が現預金として眠っているといえます。株式や投資信託などの「投資」の比率は1989年12月末には33%に達していました。この時期は、日経平均株価がまさに至上最高値38,915円をつけたタイミングです。政府の「貯蓄から投資へ」の掛け声むなしく、その後は「投資」の比率は、低下が続き今では16%になっています。

現在、世界各国の金融緩和によるカネ余りが影響し株式市場の「カジノ化」が問題になっています。米国ではゲームストップ株をめぐる個人投資家とファンドとの売買攻防が話題になりました。日本でも新興市場で株価の乱高下が起きています。こんな話を聞けば、多くの日本人は「株式投資は危険である」という認識を持ち、「投資」から距離を置くことになるでしょう。

政府は投資教育を証券業界に任せてきました。ただ、実際に行われてきたのは、投資教育ではなく、セールスキャンペーンでしょう。結局は自分たちに有利な金融商品を個人投資家に薦めるわけです。結果的に損することになった個人投資家は自分で「投資」を勉強しようと思うのではなく、これまた「投資」から距離を置くことになるのです。

それでは、私たちは一体何に投資をするべきなのでしょうか。ファイナンスのポートフォリオ理論ではこう結論づけています。合理的な投資家はマーケットポートフォリオと国債などのリスクフリー資産を組み合わせたポートフォリオを保有すべきだ。もし、あなたが全くリスクを取りたくなければ、すべての資金を例えば「個人向け国債変動金利型10年満期」に投資すればいいわけです。

マーケットポートフォリオとリスクフリー資産の保有割合は、投資家としてのあなたのリスク許容度によって変わってきます。ただ、リスク資産として保有するのは、マーケットポートフォリオであるべきです。理論的には、マーケットポートフォリオは市場のすべての資産を含んでいることになります。実際には市場には不動産、未上場株式など証券市場では取引されていない資産は多くあります。したがって、マーケットポートフォリオはあくまでも抽象概念です。

しかし、投資家は国債などのリスクフリー資産と十分にリスク分散された資産を所有すべきだ、ということは間違いありません。このような考え方から、「TOPIX」や「S&P500」などのインデックス(指数)に連動するファンドが生まれたのです。

伝説の投資家ウォーレン・バフェットは、自分の死後に妻、そして夫婦名義の信託口座に残す財産の資産配分率を質問されてこう答えています。「10%を短期米国債、90%を低コストのS&P500インデックスファンド(バンガードをお勧めする)に投資する。長期的に見ると、この資産配分でいけば、他のどんな投資家―年金ファンドであれ、機関投資家であれ、高い料金を払ってプロにアドバイスを受ける個人投資家であれ―よりも、大きな収益が得られると信じているよ」

出典:「世界のエリート投資家は何を見て動くのか(アンソニー・ロビンス著、三笠書房)」

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