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工場長の判断はいかに


1. あなたなら、どの製品を作りますか?

講義や研修の冒頭で、よくこんな問題を出して皆さんに考えてもらうことがあります。

あなたはXYZ社の工場長です。取引先から「3つの製品のうち、どれか1つを加工して納入してほしい」と迫られています。下の条件以外はすべて同じだとしたら、あなたならどの製品を選びますか?少し手を止めて、考えてみてください。

製品比較表(単位:百万円)


2. 「率」の罠にハマっていませんか

この問題を出すと、およそ20%くらいの方が「製品A」を選びます。理由はシンプルです。「一番、利益率が良いから」というわけです。

確かに、10.0%という数字は魅力的です。一方で、売上が一番大きい「製品C」を選ぶ方もいるかもしれません。

しかし、ファイナンスの目的は企業価値の最大化です。ここでいう最大化とは、企業価値「率」ではなく、企業価値「額」のことを指します。

「率」で社員の給料を払えません。また、次の投資を行い、株主に還元するための原資は、すべて「率」ではなく「額」としてのキャッシュなのです。


3. 経営は「率より額」が鉄則

改めて数字を見てみましょう。

* 製品Aを選べば、手元に残る利益は100。
* 製品Bを選べば、手元に残る利益は140。

リスクや工場の稼働条件が同じであれば、140の利益を生む製品Bを選ぶのが、最も合理的な意思決定です。

もちろん、実務においては「条件がすべて同じ」というケースは稀でしょう。もし「ボトルネック(例:機械時間、ライン人員、材料)が製品ごとに違う」のであれば、比較すべきは「利益 ÷ 制約資源(例:利益 / 機械時間)」になります。

しかし、そうした制約条件の情報がないこの設問においては、シンプルに「額」の大きい製品Bが正解となります。

「経営は率より額が大切」

これは昔から、現場を知る経営者の間で語り継がれてきた言葉だそうです。
「率」が重要ではない、と言いたいわけではありません。ただ、「率」だけを見ていると、時として判断を誤るということを、私たちは頭の片隅に置いておく必要があるでしょう。


4. 現場の意思決定を研ぎ澄ますために

「うちは効率重視だから」
そんな言葉が、思考停止の免罪符になっていないでしょうか。

効率(率)はあくまで手段。目的はあくまで「額」の最大化です。迷ったときこそ、「結局、いくら儲かるのか?」というシンプルな問いに立ち返ってみてください。

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