日本の個人金融資産は2021年に2000兆円を突破しました。OECD(経済協力開発機構)によれば、日本の現預金比率は2020年で54%です。ちなみに米国は13%となっています。一方、株式の保有比率は、米国の37%に対し、日本はわずか11%です。ところが、日本人が投資に後ろ向きだというのは、過去の話かも知れません。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(2人以上世帯)」によれば、金融商品を選択する際に重視することを聞いたところ、「元本が保証されているから」と「取扱金融機関が信用できて安心だから」という「安全性」を重視する回答率が29.2%と大きく低下しています。一方で、「利回りが良いから」と「将来の値上がりが期待できるから」という「収益性」を重視する回答率は34.9%と大きく増加しています。
元本割れを起こす可能性があるが収益性が高いと見込まれる商品の保有に関する質問には、ながらく80%前後で推移してきた「保有しようとは全く思わない」が50.3%に低下しています。一方で、「積極的に保有しようと思っている」(14.5%)と「一部は保有しようと思っている」(35.1%)が大きく増加しています。
明らかに日本人の投資に対する考え方が変化しています。従来のデフレ下においては、現預金で保有することを選択するのは合理的な判断といえました。ほっておいても、モノの値段は下がり、相対的な現金の価値が高まるからです。ここにきて、最近のインフレ傾向は「貯蓄から投資へ」の資金シフトを加速することになるかもしれません。企業の株価に賭けることを投機といい、企業の本源的な価値に賭けることを投資といいます。日本国民のマネーが投機ではなく、本当の意味での投資に向かうことを願います。