社長ブログ社長ブログ

減益予想でも増配?日本企業の配当重視のリスクとは

最近の日本経済新聞の記事によると、日本の上場企業は配当を増やし続けており、2025年3月期には増配を計画する企業が全体の約4割に達する見込みです。これは日本の個人投資家にとっては朗報かもしれません。ただし、企業の持続可能な成長という観点から見ると、必ずしも好ましいものではないかもしれません。

当期純利益のうち配当に向ける割合を示す「配当性向」は3ポイント増の36%の見込みです。日経新聞では、「かつては欧米企業よりも低かったものの、遜色がなくなってきた」と説明されています。これにより、日本企業にも欧米企業レベルの株主重視の経営が浸透してきたように見えますが、そもそも日本企業の有配率(配当を行っている企業の割合)は非常に高く、約90%を超えています。これは国際的に見ても極めて高い水準です。

例えば、米国企業の有配率は日本と比べてかなり低く、約35%程度です。この有配率の違いは、日本と米国の企業文化や株主還元に対する考え方の違いを反映しています。米国では多額の利益が生じた場合に配当する一方で、業績が悪化すれば配当を控えるなど、業績に連動して配当しています。これに対して、日本企業は安定配当政策を採用しており、業績が悪化しても配当を続ける傾向にあります。

日本経済新聞の記事によれば、減益予想にもかかわらず増配を計画する企業が増配企業全体の約4分の1に達しています。これは企業が安定的な配当を維持することを重視するあまり、業績に関係なく配当を行っていることを示しています。ちなみに、コロナ禍で業績悪化した鉄道上場企業15社の2021年3月期の赤字合計額は約1兆2000億円にもかかわらず、株主還元として1,300億円の配当を維持しています。このような配当方針は、企業の持続可能な成長を脅かす可能性があります。

株主還元を重視するあまり、研究開発、設備投資、IT投資、人的投資といった成長のための重要な分野への投資が疎かになっているのではないでしょうか。配当は業績に連動させるべきであり、株主還元と成長投資のバランスを取ることが求められます。企業が持続可能な成長を実現するためには、安定的な配当にこだわらず、長期的な視野での投資を重視する姿勢が重要です。

「毎週、ブログをお届けします!無料のメールマガジンに登録するには、下のフォームにメールアドレスを入力して登録ボタンをクリックしてください。」

メールアドレスを入力してください。


動画配信開始