2023年3月28日付、経産省が主催する「公正な買収の在り方に関する研究会」は、敵対的買収などに関する指針原案を公表しました。本指針では、上場会社の買収において尊重されるべき原則として、以下の3つを提示しています。
第1原則:企業価値・[一般]株主利益の原則
望ましい買収か否かは、[企業価値を向上させるか及び一般株主が享受すべき利益が確保されるか]OR[企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、又は向上させるか]を基準に判断されるべきである。
[事務局注:第1原則については上記の2案を示している。]第2原則:株主意思の原則
会社の経営支配権に関わる事項については、株主の合理的な意思に依拠すべきである。第3原則:透明性の原則
株主の判断のために必要な情報が、買収者と対象会社から適切に提供されるべきである。そのために、買収者と対象会社は、買収に関連する法令の遵守等を通じ、買収に関する透明性を確保すべきである。
企業買収において、望ましい買収かどうかは企業価値を向上させるかどうかで判断すべきです。ただ、「企業価値」といったときに、株主以外のステークホルダーを含めての価値だと考える人が多いのです。そんな場合、定量的な議論ではなく、定性的な議論になりがちです。
敵対的買収において、買収対象会社の取締役会がなんの定量的な根拠を示すことなく「本提案は、企業価値向上に資するものとはいえない」とすることが散見されます。企業価値向上という言葉が経営者の保身のために安易に使わるのを防ぐためにも、ここは「企業価値」ではなく、きっちりと「株主価値」と明記し、その定義も明確にすべきだと思います。
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