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ROAの整合性

ROA(Retern on Asset)は総資産利益率と呼ばれ、簿価ベースの総資産の投資効率を表す指標です。

総資産は調達サイドからみると、無利子負債+有利子負債+純資産です。これらの資産の投資効率をみるためには、分子にくる利益の中に、無利子負債債権者、有利子負債債権者、それに株主に帰属する利益を含んでいる必要があります。

ときどき、分子に当期純利益を持ってきている本を見かけますが、当期純利益は、有利子負債の債権者にとっての資金提供の見返り分である利益(=支払利息)がすでに引かれて残っていないので、間違いです。

それでは、どの利益を持ってくれば、分母と分子の整合性が取れるのでしょうか。実は、どの利益をもってきても整合性はとれません。

無利子負債(買掛金とか支払手形)の債権者は無利子で掛けを許容しているわけではありません。たとえば、掛けで仕入れるよりも、現金で仕入れる方が安く仕入れられるはずです。

その上乗せ分が言ってみれば、無利子負債の債権者に帰属する利益です。ところがその利益は、売上原価の一部として売上高から引かれてしまうので、無利子負債債権者に帰属する利益はどこにも残っていないです。

しょうがないので、次善の策として、営業利益や事業利益(=営業利益+受取利息・配当金)を持ってくるのが一般的です。本来は、この辺りのことをきっちりとわかった上でこの指標を使わなくてはいけないんです。

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