大手商社の売上が倍増!?

2018/10/24付日経新聞によれば、国際会計基準(IFRS)が、収益(売上高)計上に関する新ルールを2018年度から強制適用しました。IFRSは米国会計基準と収益認識のやり方を共通化(コンバージェンス)するために、10年越しの議論を重ねてきました。その結果、今年度から強制的に適用を開始したのです。

例えば、これまで売上高に含めるとともに費用に計上していた取引先へのリベートを売上高から控除する方法に変更することになります。これにより、花王は売上高と営業費用がともに400億円以上目減りしたといいます。

また、今回の強制適用によって、大手商社は売上高が突然倍増することになります。なぜなら、仕入価格と卸売価格の差額の手数料だけを収益に計上していたものを卸売価格全額を売上として計上しなければならなくなるからです。例えば、400円で仕入れて600円で販売した場合、今までは差額の200円を手数料として売上に計上していたものを今後は600円全額売上に計上することになったということです。

こうした会計ルールの変更は、企業外部の利害関係者(ステークホルダー)にとっては決して喜ばしいことではありません。確かにIFRSを適用している海外企業とモノサシが同じになることで企業業績を比較しやすくなったということはあります。しかし、時系列で企業の財務分析を行う場合、売上や利益の変化が会計基準の変更によるものか、それとも業績によるものなのかを我々が判断するのが難しくなったという側面があるからです。

そうは言っても、こうした会計基準の変更に関する議論は企業のキャッシュ、つまり企業価値には全く関係ないということはいつもながらですが、ファイナンスを学ぶ私たちは常に念頭に置いておく必要があります。

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