奇跡の経済教室 第7回

前回は衝撃の「事実」が明らかになりました。「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」これは財務省も認めている確かな「事実」です。つまり、日本政府の財政赤字がいくら拡大しようとも返済不能になることはあり得ません。なぜなら、借金の返済に必要な通貨を発行しているのは、ほかならぬ政府自身だからです。

だったら、税金なんていらないではないか!と言いたくなります。ところが無税国家はあり得ません。なぜなら、無税国家にするとハイパーインフレになってしまうからです。ハイパーインフレになるとお札はただの紙切れになってしまいます。いくら政府に通貨発行権があっても、その通貨の価値がなくなってしまっては困ります。ハイパーインフレこそ、国家の財政破綻です。

ここで大切なことをいいます。それは、税金とは物価調整の手段であり、決して政府の財源確保の手段ではないということです。自国通貨を発行できる政府がどうして税金によって財源を確保しなくてはならないのでしょうか。その必要はありません。(いまだに信じられない方は「奇跡の経済教室 第5回」をもう一度じっくりお読みください。)

とはいえ、無税にするとハイパーインフレになってしまう。税金は、需要(投資・消費)を縮小させて、インフレを抑制するために必要なのです。インフレを抑えたければ、投資や消費にかかる税を重くする。逆に現在のようなデフレ脱却が望まれる状況では、投資減税や消費減税を行い、物価を上げることが大切なのです。

実は、税金は物価調整以外の目的のためにも活用されます。それは、所得再配分の手段です。富裕層の所得やぜいたく品の消費には課税をより重くし、貧困層の所得や生活必需品の消費に対しては、非課税あるいは軽い税率とすれば、所得格差が是正されます。所得格差の是正は、需要を生み出し、デフレの解消に役立ちます。

というのも、高所得者よりも低所得者の方が、所得に占める消費の割合が大きいからです。高所得者は所得の2割ほどを貯蓄に回すでしょうが、低所得者は所得のほぼすべてを消費に充てざるを得ません。ということは、低所得者にお金を回す方が消費需要が拡大するというわけです。その意味で、所得格差を是正する「累進所得税」は、国全体で見れば、消費需要を刺激する効果をもつと言えます。格差の是正は、需要の拡大を通じて、経済成長を促します

さて、消費税は、格差を拡大する効果を持つ税制です。低所得者ほど、収入に占める生活必需品の購入費の割合が高いので、高所得者よりも税負担率が高くなるからですつまり、累進所得税とは逆に、消費税は「逆進的」なのです。

所得税は失業など所得のない人には課税されません。このため、景気が悪くなり、失業者が増えると非課税になる人が増えるので税収が減ることになります。反対に景気がいいときは、個人の所得も増えるので税収も増える。所得税は景気の好不況の税負担を調整する機能があります。一方、消費税は、富裕層であろうが失業者であろうが、景気が好かろうが悪かろうが、消費をする以上は一律に税を課すというものです。

「財政赤字をこれ以上、増やすべきではない。政府の借金返済の財源確保のためには、消費税の増税が不可欠だ」などと言われ、2019年10月に消費税が増税されました。しかし、日本は財政危機の状況にはないですし、そもそも税は財源確保の手段ではありません。デフレ下において、税収が減るのは何の問題もないどころか、むしろ税収を減らすべきなのです。デフレなのに消費税を増税するというのは、最悪の政策です。

次回が最終回です。

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