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バフェット氏の「株主への手紙」

米国の著名投資家であるウォーレン・バフェット氏は、自身が率いるバークシャー・ハサウェイの「株主への手紙」で冒頭から会計基準の変更に対して苦言を呈しています。

バークシャー・ハサウェイは、2018年度には、40憶ドルの当期純利益(Net Income)となっています。この当期純利益の内訳をみれば、248億ドルの営業利益と▲30億ドルのノンキャッシュの無形資産の減損、28億ドルの株式売却による売却益と▲206億ドルの保有株式の評価損です。

なんと、営業利益248億ドルの大半が帳簿上の保有株式の評価損▲206億ドルによって大きく減少していることになります。実は米国会計基準は17年12月以降に始まる会計年度から持ち合い株の評価損益を利益に反映させることを義務付けたのです。

株価の変動を当期純利益(Net Income)に反映させるとすれば、、バークシャー・ハサウェイの場合、一日で20憶ドルもの変動があります。これが果たして、企業の業績の実態を表すことになるのでしょうか。ウォーレン・バフェット氏は、会計基準は分別あるものにすべきと言っています。

さらに、こうした状況を踏まえて、ウォーレン・バフェット氏はこう発言しています

“Our advice? Focus on operating earnings, paying little attention to gains or losses of any variety.” (私たちのアドバイスは?営業利益にフォーカスすることです。様々な利益や損失は気にする必要はありません)

政策目的の持ち合い株式が多いトヨタ自動車は、この米国会計基準の変更により、2019年3月期の業績予想を下方修正しました。東京証券取引所によると米国会計基準を採用する上場企業は13社あります。社数こそ少ないですが、トヨタ自動車、ソニー、コマツ、東芝など規模の大きな企業が多いのです。

実際のところ、トヨタ自動車は営業利益の予想は変更していません。株価の変動で当期純利益(Net Income)の金額が変わってしまうと企業の「実力」がわかりにくくなりますし、時系列の業績比較も難しくなります。

会計(Accounting)とは、企業の業績を”Account for”(説明する)ための道具です。会計基準の制度設計する人たちは、この原点に立ち戻って欲しいと思います。

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