日経新聞によれば、著名投資家ウォーレン・バフェットが率いるバークシャー・ハザウェイの株式運用は2022年1~3月期に400億ドル(約5兆円)を超える買い越しだったようです。同社の現金・同等物は一時、1,400億ドルを超えていました。この3ヵ月で30%近くを投資に回したことになります。
積極投資の背景には強まるインフレへの備えがあります。バフェットはこう語っています。
「インフレは債券投資家をだまして財産を巻き上げる。現金をマットレスの下に置いている人の財産も奪われる。ほとんどすべての人がだましとられる」また、積極投資に動く理由について、バフェットはこうも語っています。「私たちが賢いからではない。正気を保っているからだ」
バフェットが優れた投資家であることは、誰もが認めるところでしょう。ただ、多くの人が気づいていない事実を指摘しているのは「サイコロジー・オブ・マネー」のモーガン・ハウセルです。
この本の中で、「バフェットの成功を読み解く真の鍵は、彼が4分の3世紀にわたって類まれな投資家であり続けたことにあるのだ。もしバフェットが30代で投資を始め、60代で止めていたら、その名が世界に知れ渡ることはなかっただろう」と述べています。
バフェットは10歳から本格的な投資を開始し、90歳を超える今でも現役です。この間、驚異的な年間収益率22%で投資を続けてきました。その結果、現在では、純資産845億ドル(約10兆9,850億円)となっています。
もしバフェットが人並みの人生を歩んできて、30歳で純資産2万5,000ドル(約325万円)から投資をはじめ、60歳で引退したとしましょう。この場合、現在のバフェットと同様に驚異的な年間収益率22%で投資を続けていたとしても、純資産は、1,190万ドル(約15億4,700万円)にしかなりません。なんと、これは現在のバフェットの純資産のわずか0.01%です。
事実、バフェットの資産845億ドルのうち、815億ドルは60歳半ば以降に増えたものなのです。この事実を見せられて、改めて複利の力を認識します。それほどに私たちは複利の力を直観的に理解できないのです。私たちが投資を行う場合、この複利が持つ可能性を常に頭に入れておく必要があることを再認識させられました。