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BS経営の先にあるもの

売上拡大、コスト削減によって利益の最大化を目指すPL経営は、今やBS経営の時代にシフトしていると私は言ってきました。BS経営とは、インプットとアウトプットの両方を考える経営です。つまり、限られた経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)などのインプットを営業利益というアウトプットにどのように結びつけるかを考える経営です。

これは言ってみれば、投下資本に対して、どれだけ効率よく利益を上げたかを重視する「利回りの経営」と言えます。この「利回りの経営」には、ROEやROA、ROICなどの資本生産性指標があります。最近、ROICを経営指標として導入する企業が増えてきていますが、それだけ資本コスト(WACC)を意識した経営を目指す必要があるという経営者の課題認識の表れとも考えられます。それはそれで素晴らしい流れだと思います。

企業価値は、ROIC>WACCのときに初めて創造されたといえます。ただ、この段階では、あくまでの単年度における業績を評価したにすぎません。そこには、時間と再投資の概念が入っていません。私たちは、単年度の「利回りの経営」から「複利の経営」を目指すべきです。複利の経営では投下資本によって生み出されたものを元手に加えて再投資していきます。その時間が長ければ長いほど、元の投下資本が指数関数的に増えていくのです。この複利の力は、ブログ「バフェット成功の秘密」でお話した通りです。

具体的に見てみましょう(上図ご参照)。今、ROE10%、配当性向(=配当金額/当期純利益)30%の会社があるとしましょう。株主であるあなたがインプットした株主資本は100です。この会社は1年後に10の当期純利益を稼ぐことになります。そこから、30%は配当として支払い、残った7を元手に足した107が新しい株主資本になります(セルF7)。それが翌年の期首に引き継がれ、同じように期末には、10.7の当期純利益を稼ぎ、30%の3.2は配当に回します。これを繰り返して、10年たつと、あなたの株主資本は210.5となり、元手の2倍以上になります。もし、この会社のROEが15%だとすれば、あなたの株主資本は299.9になり、これは元手の3倍です。単年度でみれば、ROEの5%という差が10年も経過すると大きな差になることがわかります。

企業は1回で終わるプロジェクトではありません。企業はゴーイング・コンサーンと言われる通り、継続することが前提です。稼いだものを山分けして終了では、豊かになれないことに気づいた人々が株式会社という再投資の器を考えたとも言えます。どうしたら、「複利の経営」ができるのか。具体論は、この本「三位一体の経営」がお薦めです。

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