日本政府は2022年を「スタートアップ創出元年」と位置づけています。大きく成長するスタートアップが少ないことは日本の課題です。そんな中で経済産業省が2022年4月に公表した「スタートアップの成長に向けたファイナンスに関するガイダンス」は一読の価値があります。
このファイナンスに特化したガイダンスの作成の背景には、政府に次のような3つの課題意識がありました。1.起業家と投資家のファイナンスに関する知識の差が大きいこと、2.新規株式公開(IPO)で適用できる制度を活用し切れていないこと、3.IPOの後で成長が止まるスタートアップが多く、企業としてのポテンシャルが、ファイナンスのノウハウの有無によって生かし切れていないこと。
確かに、成長しているスタートアップには、優秀なCFOがいて、ファイナンスやIRで企業価値の向上につなげているのかもしれません。このガイドラインは、シード期からミドル期、レイター期からIPO前、そしてIPO後までを見渡して、段階ごとに課題と検討のポイントが分かりやすくまとめられています。
また、随所に出てくる上場スタートアップCEOやCFOの肉声は説得力があります。CFOを選ぶ際の観点と求められる資質、CFOのバックグラウンドと期待できる強み、CFOを採用する際の留意点まで痒い所に手が届く内容になっています。ガイダンスの最後を飾る寄稿文だけでも読んでみてください。