この本を読み終えたとき、なんともいえない余韻が残りました。とても不思議な本です。この本の著者である湊先生とあたかも対話しているかのような気しました。「東大の異色の先生が学生たちと語り合った108の意思決定のはなし」と帯にあります。本のカバーのそでには、いきなりこうあります。
たった八十字の基礎知識
意思決定とは、選ぶこと。
不確実性とは、わからないこと。
オプションとは、選べる権利のこと。
オプションを現実の（リアルな）意思決定に用いるとき、
「リアルオプション」という。
驚くほど、シンプルです。「リアルオプションでお薦めの本は？」と聞かれて、いつも湊先生の「事業の意思決定」を薦めてきました。非常に薄い本ですが、とても中身がつまった本です。さまざまなファイナンスの本を読んでもわからなかった「リスク中立確率の考え方」は、この本で理解できました。難しいことを簡潔に説明してくれる本書に感動しました。
5年ほど前に、この先生に直接学びたいと思い、大学院の試験を受験しようと思ったくらいです。その先生が東京大学を退官されて、著したのが「人生のリアルオプション」です。この本の前半は、湊先生が意思決定という分野に携わってきた中で、考えてきたことや経験したこと、他の人たちから学んだことをエッセイ風に書き記しています。
後半部分から「リアルオプションの理論と実践」になります。ファイナンスの知識がない方でも理解できるように、リアルオプションとは何かを分かりやすい事例で解説してくれています。私自身も「なるほどなぁ、こういう風に説明すればいいのかぁ」とたくさんの気づきがありました。本を最初から最後までいっきに読んだのは、本当に久しぶりのことです。お薦めします。
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