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ROIC活用の実態

事業活動に投じた資金を効率よく利益に結びつけているかを示すROIC(投下資本利益率)を経営指標に使う企業が増えています。2022年12月22日付日経新聞によれば、2022年に決算短信などでROICに言及したのは前年比約2割増加の約400社に上るといいます。

それでも、ROICが十分に企業に浸透したとはいえないかもしれません。2022年4月に生命保険協会が発表している調査資料に『生命保険会社の資産運用を通じた「株式市場の活性化」と「持続可能な社会の実現」に向けた取り組みについて』があります。

この調査によれば、経営目標として重視すべき指標に「ROIC」を挙げたのは投資家が46.3%なのに対して、企業は12.8%と4分の1です。また「資本コスト」を挙げたのは、投資家が37.9%に対して、企業は2.3%と、投資家との間に大きなギャップがあります(下図参照)。

出所:生命保険協会

加えて、投資判断の適切な指標として「ROIC」を挙げたのは、投資家が76.8%なのに対して、実際に採用している企業は35.7%と半分にも満たない状況です。さらに、驚くべきは、60%以上の企業が「a 売上・利益の増加額」と「b 事業投資資金の回収期間」を投資判断指標に採用していると回答していることです(下図参照)。

出所:生命保険協会

さらに、日経ヴェリタスによれば、ROICを活用するとしながら、具体的な数値目標を開示しなかったり、目標の達成時期を明示しなかったりする企業も見受けられるとあります。あずさ監査法人の土屋大輔マネージング・ディレクターの次のコメントが紹介されています。
「ROICを使っているといっても、経営会議資料への記載にとどまっていることが多い。経営資源の再配分につなげられている企業は少ない」
資本効率改善の要請が高まる中、ROICを単なるお題目で終わらせないためには、企業トップの覚悟が求められます。

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