安定した賃貸経営をするためには、今後10年程度の運転資金をモニタリングすることが、私は重要だと考えています。
飲食店経営などの場合は、季節変動のため売上予測が難しく、あまり長い期間の資金繰り表に意味はないと思われます。
しかしながら不動産投資では、比較的長期の予測が可能と考えます。特に東京23区およびその周辺地域の賃貸市場は比較的需要が多く、駅からの徒歩距離など立地を厳選すれば、安定した市場を形成しています。
東京はマーケットに対する情報量が多いのも特徴で、将来の賃料下落率も精度の高い測定が可能です。
そんな理由から、長期のNOI(Net Operating Income 収入から運営費用を控除した手残り)の予測が可能となります。
あとは前回までにお伝えした長期営繕計画費用CAPEXと、税金の予測ができれば、将来の預金推移がモニタリングできるようになります。
このような長期の資金繰り表を、各期の決算が締まるごとに変更修正しながら作り替えていくことで、運転資金の時読みが出来るようになり、経営者の心の平静が保てるようになります。
さらに複数の物件を運営するようになれば、個別とトータルでの資金繰りを観測でき、どの物件にどんな問題があるのか的確に判断できるようになります。
つまり、『いつ?どの物件で?幾らの修繕資金が必要か?その時の預金残高は幾らなのか?』という問題を明確にイメージできます。
これができると、特定の物件について、『保有を続けるのか?切り離すのか?』という意思決定が迅速にできます。それも、時読みという時間的な猶予を使って検討できますので、売却が最善と結論した時に、充分な時間的余裕をもって、売却活動に臨むことができます。
結果、より強い戦略的な売却が出来るのです。不動産投資での資金繰り表というほぼ本で書かれていないと思われるテーマですが、こうした考え方を取り入れることにより、不動産投資の安定性は飛躍的に高まるのです。
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