フリマアプリのメルカリは、ユニコーン企業(未公開段階で時価総額が1000億円超)として6月19日に東京証券取引所マザーズに上場。初値で6,760億円をつけるなど高評価を受けた日本を代表するメガベンチャーです。
そのメルカリが上場後初めてとなる2018年6月期の連結決算を発表しました。売上高は357億円と前期比+62.0%の増収ながら、営業利益は、マイナス44億円の赤字決算です。前期の営業利益がマイナス27億円ですから大幅減益です。
減益の原因として、メルカリは「わが社は継続的な成長フェーズにあるものの、海外事業や国内における新規事業は投資フェーズにあり、サービス開発組織の強化による人員の増加や効果的なブランド認知の構築や利用を促す積極的な広告宣伝等に費用が必要であった」としています。
ちなみに2017年6月期では、粗利率87.7%に対して、売上高の64%にあたる140億円をこえる広告宣伝費を投入しています。その結果が前期のマイナス27億円の営業赤字だったわけです。
キャッシュフローはどうでしょうか。本業でどれだけのキャッシュを稼いでいるかをあらわす営業CFがマイナス343億円です。この営業CFがマイナスというのは一般的には営業赤字よりもまずい状態と言えます。ただ、メルカリのように成長ステージにある企業であれば問題はないと言えるでしょう。一方、194億円もの投資を行っていることから、フリーキャッシュフロー(FCF)はマイナス538億円です。とは言うものの、今期上場による株式発行収入が570億円ありますから資金繰りに問題ありません。
山田進太郎会長兼最高経営責任者(CEO)はこう言います。「短期の収益性ではなく、中長期での大きな成長を見据え、主に3つの分野に投資をしていく。人への投資、テクノロジーへの投資、海外への投資」参考:メルカリ創業者山田進太郎 「創業者からの手紙」
この目先の利益よりも将来の成長のために積極的な投資を行うという経営姿勢は、AmazonのジェフベゾスCEOに通じるものがあります。
We will continue to make investment decisions in light of long-term market leadership considerations rather than short-term profitability considerations or short-term Wall Street reactions. (私たちは短期的な利益の追求やウォールストリートの反応よりも長期的なマーケットリーダーシップをとるために継続して投資を行います)
出典:Amazon 1997年の株主への手紙の一部
メルカリらしさを代表する言葉とされる「GO BOLD(大胆にやろう)」を体現し、どこまでメルカリを成長させ、企業価値を高められるか。非常に楽しみな企業だと思います。