RIZAPの2019年3月期の売上収益は2,225億円と前期比+82.3%の増収ながら、営業利益は最終的には▲93億円の赤字となりました。前期対比で▲211億円の減益のうち、93億円は構造改革関連費用です。
構造改革の指揮をとっていた元カルビー会長兼CEOの松本晃氏はこの6月で取締役を退任し、特別顧問につくことになりました。実際のところ、松本氏はRIZAPについてどのように考えているのでしょうか。2019.7.13週刊東洋経済のインタビューにそのヒントがありました。今回は、「プロ経営者」松本氏の発言をご紹介しましょう。
ライザップの問題とは何だったのかと問われてこう答えています。
「瀬戸さんが起業したときやボディーメイクジム開始時の「健康」という軸から、ちょっとはずれた方向に向かっていた。その軌道修正が必要だった。(中略)「こんな会社をつくりたい」というイメージに沿っていないと思われる企業の買収を続けていたことにあった。」
※下線は筆者(以下同様)
これは信じがたいことです。なぜ創業者である瀬戸社長は、自分の思い描くビジョンに合わない企業買収を推し進めてきたのでしょう。これに対して松本氏はこう答えています。
「買いに行ったのではなく、皆さんが売りにこられた。昨年6月に僕が来たとき、持ち込み案件がいっぱいある状況だった。そして瀬戸さんが「欲しい」と言えば、他の取締役は忖度する。面と向かって反対した人はいなかった。
日本電産会長の永守重信さんみたいに、「自分の夢を達成するためには、今の延長だけでは足りないものがある。したがって、あの企業が欲しい」と思うところからM&Aは始めるべきだ。そして喉から手が出るほど欲しくても、安く買えるまで待つ。買った後は自分が深く経営に関与するハンズオン型で立て直す。永守さんのようなやり方がいちばんいいと思う。」
永守さんの話からは、企業買収は、いい出物があるから買うという単純なものではないことが良くわかります。あくまでも経営者のビジョン(パズル)があり、そのビジョン(パズル)を完成させるために必要な企業(ピース)を買収すべきであるということでしょうか。
まだまだ松本氏の珠玉の名言が続きます。次回もこの松本氏のインタビュー記事を取り上げたいと思います。
参考ブログ:「RIZAPの経営大ピンチ」「RIZAP「負ののれん」のマジック」