関西電力の役員ら20人による金品受領問題が世間を騒がせています。同社監査役が実態を把握しながら、取締役会や経済産業省への報告を怠っていたことも判明しています。まさにガバナンスが形骸化していたことがわかります。
日本企業の不祥事に通底するものは「ムラ」の論理が優先されるということでしょう。そして、不祥事は「ムラ」の空気によって引き起こされると言っても過言ではありません。これは、外国企業の不祥事と異なるところかも知れません。
例えば、記憶に新しいところでは、フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題があります。全世界で約1100万台のディーゼル車が有害物質の排出を不正に操作するソフトウエアを搭載していたという問題です。
このVWの不祥事が多くの日本企業の不祥事と異なるのは、元独アウディの社長の明確な指示命令系統のもとで実行されていたということでしょう。つまり、関係者を辞めさせさえすれば、ある意味で病巣を取り除くことが可能と言えるのです。実際のところ、元独アウディの社長は逮捕されています。
一方で日本企業の場合は、村長が明確に指示したわけでもなく、なんとなく前任の村長から引き継がれ、村民も何も疑問も持たず、今までの生活を続けてしまう。悪いのは村長や村民ではなく、悪いものがあるとすればそれは「ムラ」の空気となります。そして村長の頭にあるのはなんと言っても「ムラ」の存続でしょう。まさに「ムラ」の存続こそが最大の目的となっているわけです。そこには悪意がないからこそ、根治するのは難しいのです。
出所:PwC「2014年世界の上場企業上位2500社に対するCEO承継調査結果概要」
「ムラ」の論理が優先され、「ムラ」の空気によってモノゴトが決まる内向きな経営から外向きの経営になぜ変革出来ないのか。その原因のひとつに多くの日本企業の村長(経営者)が村民から選ばれるということがあるでしょう。上図をみると日本企業のCEOの75%が社内から選ばれていることがわかります。経営者が職業として確立されている諸外国との違いがここにあらわれているといえます。ムラに新しい風を吹かせるプロの村長(経営者)の育成が望まれるところです。