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国際会計基準、7割で負債増加

日本の上場会社3,675社あるうち、国際会計基準(IFRS)を採用している企業は2019年6月末で215社です。社数で言えば、上場会社の約6%と少数派です。ところが時価総額はおよそ40%を占めます。つまり、規模の大きいグローバル企業を中心にIFRSを採用していると言えます。

2019年12月21日付日経新聞によれば、9月末時点でIFRS採用の7割の企業で3月末対比で負債が増えたといいます。東証1部に上場する3月期決算のIFRS採用企業(金融など除く)118社のうち82社の負債が合計で約10兆円増えています。これは、2019年からリース取引の会計上の扱いが変更されたことによります。

一般的にリースは、「ファイナンスリース」と「オペレーティングリース」に分類されます。ファイナンスリースは、リース期間中の中途解約不能、フルペイアウトのリースをいいます。

フルペイアウトとは、ユーザー(賃借人)がリース料として支払うのは、リース会社(賃貸人)がリース契約に要した費用(物件等の取得費用、固定資産税、保険料など)のほぼ全額になります。つまり、結果的にユーザーが支払うリース料の総額は物件等の価格の110%~120%程度になります。

オペレーティングリースは、ファイナンスリース以外のリースをいいます。一般的にオペレーティングリースは、リース期間満了時の残存価額(残価)を設定し、物件の元本部分から残価を差し引いて、リース料を算出します。結果的にユーザーが支払うリース料総額は物件の価格以下となります。

ファイナンスリースは会計上は原則売買処理され、従来からオンバランス取引とされていました。オペレーティングリースは賃貸借処理で簿外に注記されるのみだったのです。これをオフバランス取引といいます。

IFRSでは2019年1月から始まる決算期で二つのリースともに原則、資産計上するよう改正されました。従来のオペレーティングリースは、損益計算書にリース料を記載するだけだったのが、これからはBSに資産と負債の両建てで計上する必要があります。

BS全体が膨らむことから、総資産利益率(ROA)や自己資本比率が低下するのです。これにより、投資家の投資意欲をそぐ恐れがあるという論調がいまだに見受けられます。しかしながら、これはあくまでも会計上のお話であり、企業の実態、つまりキャッシュフローには全く影響がないのは言うまでもないことです。

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