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年末年始に読むべき本

今年最後のブログは年末年始に読むべき本を取り上げたいと思います。私がお薦めするのは、「ニュータイプの時代」です。サブタイトルは、「新時代を生き抜く24の思考・行動様式」です。私が蛍光ペンでマークした箇所は例えばこんなところです。


社会がより「不安定」で「不確実」になるということは「予測の価値」がどんどん減損していくことになります。このような時代にあって、計画に時間をかけ、立てた計画を実直に実行するという行動様式は極めてリスクが大きいと言わざるを得ません。いわば「計画的な行き当たりばったり」によって、変化する環境に対して柔軟に適応していくことが求められます。


従来は、企業にしても個人にしても、実行する前に中長期的な計画を綿密に立てることが良しとされてきました。ところが、予測の無価値化が進んでいる時代においては、試しにやってみる姿勢が大切なのです。ここで、私が思い出したのは次の文章です。

We will continue to measure our programs and the effectiveness of our investments analytically, to jettison those that do not provide acceptable returns, and to step up our investment in those that work best. We will continue to learn from both our successes and our failures.
(私たちはプログラムや投資対効果を分析的に評価していき、許容できるリターンをうまないものからは撤退し、うまくいっている投資についてはさらに力を入れていきます。私たちは成功と失敗から学び続けます)

この文章は、アマゾン創業時のアニュアルレポートに記載された「株主への手紙」の中にあります。アマゾンは上場以来、70を超える新規事業に参入しています。ところが、およそ3分の1の事業からは早期に撤退しているのです。アマゾンの成功は、膨大な数の試行錯誤の結果ともいえるわけです。事業環境の変化に応じて修正を加える。それでもダメだったら、撤退するというまさにリアルオプション的なアプローチが大切なのです。

その意味では、Now or Never(今やるか、さもなくば、やらないか)の投資決定しか出来ないNPV法は、典型的なオールドタイプの意思決定メソッドだと言えるでしょう。

また、私はこんなところにもマークしました。


これだけVUCAな世界になってなお、他人に将来を予測してもらって受験勉強よろしく「傾向と対策」を考えようなどというのは、まさに浅知恵と言うべき典型的なオールドタイプのパラダイムと言えます。一方、ニュータイプは予測ではなく、構想します。「未来がどうなるのか?」ではなく「未来をどうしたいか?」を考えるのがニュータイプだということです。


予測の上に自分の身の振り方を考えるというのはオールドタイプのパラダイムでしかない。ニュータイプは未来を構想し、構想した未来のために行動を起こすという著者の言葉にはハッとさせられます。本書の至るところで、いつの間にか私自身の中に巣食うオールドタイプの思考様式にいや応なしに気づかされます。「あなたと違って私はオールドタイプの上司たちに囲まれていて、やりたいことが出来ないんです」と言い訳しそうな読者にも著者の山口氏は容赦ありません。


危機に直面した生物は「戦う」か「逃げる」かのどちらかの選択を瞬時にします。では人間はどうかというと、多くの場合はこの2つのオプションを取るよりも「じっと耐える」「なんとか頑張る」という選択をします。多くの人間が採用するこの選択肢を選ぶ動物がいない理由はなんだと思いますか。実に単純な話でそのような選択をした生物は絶滅してしまった、ということです。


不甲斐ないリーダーに対して、これを是正するために下にいる人間が取れるオプションは「戦う=意見をして行動をただす」か「逃げる=その人のもとから逃げ出す」かの2つしかないと山口氏は言います。いずれにしても、私たちに必要なのは「勇気」と「覚悟」だということを肝に銘じる必要があります。

今年も社長ブログをご購読いただき、有難うございました。
よいお年をお迎えください。

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