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知的財産の利益は誰のものか?

2020/2/21付日経新聞によれば、米内国歳入庁(IRS)は2019年2月、米国でビジネスをするグローバル企業に対して、今後は米国内で集めたデータやブランド力などの知的財産が生んだ利益をできるだけ米国内で計上するよう要請しました。

従来、トヨタ自動車をはじめとして、多くの日本企業は本社の研究開発や顧客分析を重視し、海外の知的財産が生み出した利益でも本社の利益として扱ってきました。本社の利益ですから、この利益に対する法人税は日本で支払ってきたのです。

今後は知的財産の管理や税の支払先が変わる可能性がでてきます。IRSのこの方針の背景には次のような考え方があります。研究開発活動をしている本社がある国だけではなく、大きな市場と消費者がいて日々膨大なデータが生まれている場所でも付加価値が生まれていると考え方です。

「データを提供している消費者が価値の源泉になっている」という米国の考え方を推し進めることは、米国にとって両刃の剣になりかねません。グーグル、フェイスブック、アマゾンなどは、オンラインで消費者のデータを集め分析し利益につなげるという「デジタルマーケティング」で成長してきた企業だからです。これらの企業からの日本の税収が増える可能性も出てきます。

ただ、米国はそんなことは百も承知のはずかも知れません。歴史を振り返るまでもなく、欧米のつくったルールの中で我々は常に戦いを強いられてきました。これはビジネスだけでなく、スポーツの世界でもそうです。常に自国に有利に働くルールを策定することが勝つための定石だからです。ルール策定は戦略レベルのお話。その決められたルールの中でなんとか勝とうともがくのは戦術レベルのお話です。

日本国政府としても、OECDなどへ働きかけながら、出来るだけ国益にかなったルールにすべく尽力していただきたいものです。

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